Pen編集者16名が初公開!我が愛読誌、教えます。
ただ編集長コラムが読みたくて、もう13年も買い続けている『Free & Easy』
佐藤 俊紀
『Free & Easy』の最新号の特集は、「オレのラギッドコーディネート」。近年の同誌の傾向は、ずばりラギッド推しです。とはいえ、別にラギッドスタイルが好きで手に取っているわけではありません。小野里稔編集長の巻頭コラム「Dear Readers」を読まずにはいられないのです。
編集長コラムでは、ごく個人的な事を綴っています。今月号のテーマは「スタジャンをめぐる冒険」。若い頃に買ったスタジャンの話です。「─中略─38とサイズは良いのに売れ残っているのは、間違いなく色と形が原因だった。天邪鬼はここで視点を変える。先ず臙脂とコーチ用スタイルをバタ臭い色と形に置き換える。次に一着だけ仕入れして売れ残っている状況を『誰も着ていないスタジャン』に変換したのだ─」といった具合。たしか前号は、若い頃、急斜面という建築条件としては最悪の土地を買った。だが、そこは美しい鎌倉の海を望む高台の土地とも言い換えられる、みたいな話でした。
小野里編集長のコラムに惹かれるのは、男として自分だけの美意識を持つことと、ツマらないものを面白いものに変える、発想の転換力を教えてくれるからでしょうか。こうして理由を言葉にするとチープになってしまいますが、とにかく痛快なのです。
読者の皆さんにとっては、知ったこっちゃないことかもしれませんが、僕が、編集者って面白そうだな……と思ったきっかけは、この編集長コラムでした。いまでも憶えています。1998年11月に登場した創刊号の特集は「終らない夏」。創刊したのは、夏どころか秋も終わりかけで、もっといえば、僕がその頃暮らしていた札幌では、すでに冬でした。それでも、『Free & Easy』は、夏は終らないといい、人生の真夏日を自分で決めるのが男だ、と発信したのです。あれから13年が経ったいまでも、編集長コラムが読みたいがために思わず手に取ってしまいます。別にラギッドスタイルが好きでもないのに。
今年6月には、インタビュー記事のねつ造事件という残念なニュースが流れ、衝撃を受けました。でも、大きなショックを受けるほど、自分は『Free & Easy』が好きだったんだなぁ、と思った次第です。
編集長コラムでは、ごく個人的な事を綴っています。今月号のテーマは「スタジャンをめぐる冒険」。若い頃に買ったスタジャンの話です。「─中略─38とサイズは良いのに売れ残っているのは、間違いなく色と形が原因だった。天邪鬼はここで視点を変える。先ず臙脂とコーチ用スタイルをバタ臭い色と形に置き換える。次に一着だけ仕入れして売れ残っている状況を『誰も着ていないスタジャン』に変換したのだ─」といった具合。たしか前号は、若い頃、急斜面という建築条件としては最悪の土地を買った。だが、そこは美しい鎌倉の海を望む高台の土地とも言い換えられる、みたいな話でした。
小野里編集長のコラムに惹かれるのは、男として自分だけの美意識を持つことと、ツマらないものを面白いものに変える、発想の転換力を教えてくれるからでしょうか。こうして理由を言葉にするとチープになってしまいますが、とにかく痛快なのです。
読者の皆さんにとっては、知ったこっちゃないことかもしれませんが、僕が、編集者って面白そうだな……と思ったきっかけは、この編集長コラムでした。いまでも憶えています。1998年11月に登場した創刊号の特集は「終らない夏」。創刊したのは、夏どころか秋も終わりかけで、もっといえば、僕がその頃暮らしていた札幌では、すでに冬でした。それでも、『Free & Easy』は、夏は終らないといい、人生の真夏日を自分で決めるのが男だ、と発信したのです。あれから13年が経ったいまでも、編集長コラムが読みたいがために思わず手に取ってしまいます。別にラギッドスタイルが好きでもないのに。
今年6月には、インタビュー記事のねつ造事件という残念なニュースが流れ、衝撃を受けました。でも、大きなショックを受けるほど、自分は『Free & Easy』が好きだったんだなぁ、と思った次第です。
小野里稔編集長による巻頭コラム「Dear Readers」。比較的長めの文章ですが、最後まで一気に読ませてくれます。(表紙・誌面写真:青野豊)
Free & Easy
イースト・コミュニケーションズ
毎月1日発売
¥990
1998年創刊
編集長:小野里 稔
イースト・コミュニケーションズ
毎月1日発売
¥990
1998年創刊
編集長:小野里 稔