夜の暗さも感じる、
大きな屋根に集う
昔ながらの暮らし。
家を建てる上で建築家を吟味したというCさん。他と違うオリジナリティのあるものを望みましたが、モダンな建築という意味では差別化ができなかったと振り返ります。サポーズデザインオフィスに依頼したのは、独自の世界と意図をもった大胆さに魅力を感じたから。
「日の光だけではなく夜の暗さも感じられるんです。体内時計が建物にリンクして、大きな屋根のもとに家族が集って過ごす時間は太古から人の暮らしてきた生活そのもののようで安心感があります。池には水鳥が訪れ、まれに庭先に猿が出没することも。いつの間にか子どもたちはすっかり動物に詳しくなりました」
もちろん工夫が必要な家でもあるとCさん。けれど手間が愛着になり、窓が曇れば換気が必要な合図とわかるようになったとか。庭づくりにも力を入れ、未完だからこそ家に手を加えながらやるべきことをやっていく楽しさがあると言います。「僕らが諦めそうになってもクライアントは諦めない。そうしてようやく生まれた家はとてもいい家になりました」と笑う谷尻さん。コミュニケーションを重ねて唯一無二の家をつくるサポーズデザインオフィスらしい一軒と言えるでしょう。
上:道路に面して、大きな屋根がかかる外観。傾斜地に立ち、道路の反対側に広がる池に面して開口部を設けています。
中:エントランス脇の階段はそのまま池に向かってアプローチします。植物はオーストラリアに自生する植物を多く使い、エキゾティックな雰囲気を演出しています。
下:エントランスにはタープを張り日差しを遮ることも。ガルバリウム鋼板の波目はCさんの希望から、この方向を選択したと言います。
家族構成:夫婦、子ども2人
構造・規模:鉄骨造一部RC造2階建
敷地面積:259.85㎡ 建築面積:104.94㎡
延床面積:111.85㎡(1階48.74㎡、2階63.11㎡)