4つのキーワードからひも解く ピアジェ、究極のエレガンス。
ピアジェ「アルティプラノ」、華麗なる60年史とは。
エレガンスを極める、
優雅で美しい
薄型時計の金字塔。
2017年。時計史を彩るマスターピースが、60周年を迎えました。それがピアジェ「アルティプラノ」。南米アンデス山脈の高原地帯から命名されたその時計は、驚くほど薄く、エレガント。この薄型時計が誕生したのは、1957年のことです。それまで機械式時計は“複雑であること”が尊いとされていました。しかしピアジェは技術力と探求心を、薄型時計に向けたのです。
ピアジェは1874年の創業から優秀なムーブメント製造工房として研鑽を積み、1940年代からは自社ブランドとして時計自体の製造を開始。すでに群雄割拠の時計市場のなかで頭角を現すために選んだ個性が、薄型時計でした。1957年に誕生したドレスウォッチは、厚さ2㎜の極薄手巻きムーブメント「9P」を搭載。エレガントなたたずまいに、社交界に集うセレブリティたちが魅了されたのは当然でしょう。ドレスアップした手元に、さりげなくピアジェをつける。それが最新のモードでした。
60周年記念モデルは、そんな当時の空気感をまとっています。“薄くてエレガント”という特徴だけでなく、ピアジェをつける行為自体が、優雅で美しく、特別なことであるという文化も受け継がれているのです。
オリジナルモデルに合わせて、旧ロゴを採用。これだけ薄いにもかかわらず、インデックスはホワイトゴールドの植字式です。
「アルティプラノ」自動巻き(Cal.1200P)、18Kホワイトゴールド、ケース径43㎜、ケース厚5.64㎜、世界限定360本。¥2,675,000
エポックメイキングな代表作とともに、その歴史を辿る。
薄型時計をつくるには、極薄のムーブメントが必須です。ピアジェはムーブメント製造工房として蓄積した技術を駆使し、かつてない薄型ムーブメントの開発を始めました。限られたスペースに100を超える部品を組み込むためには、設計、製造、組み立てすべてがハイレベルでなくてはいけません。しかもピアジェは“Toujours fair mieux que nécessaire(常に必要以上に良いものをつくる)”を当時のカタログや広告に掲げ、薄いだけではなく時計としての価値を高めることを目指しました。
「9P」を搭載した薄型のドレスウォッチは、1957年のバーゼルフェアで発表されるや時計業界の話題を席巻しました。さらにピアジェはジュネーブにブティックをオープンし、周辺の高級ホテルに滞在する世界中のVIPをもてなしたのです。ピアジェ愛好家は増え続け、名声は世界に広まります。1960年には厚さわずか2.3㎜の驚異的な極薄自動巻きムーブメント「12P」を搭載するドレスウォッチも完成。このサイズでも約36時間のパワーリザーブを備え、機能面でも優れていました。
ピアジェの薄型時計は数値的な記録だけでなく、美しさと実用性の高さでも評価されました。だからこそ60年たった現代でも、その価値は失われないのです。
「9P」と「12P」の開発により“薄型時計の大家”となったピアジェは、薄型化技術に一段と磨きをかけていく一方で、オリジナリティの追求にも熱心でした。特に2010年以降は、時計業界全体がエレガンス志向となり、こぞって薄型時計の製造を開始します。そんなブームの中でも、ピアジェは薄型だからこそ実現可能なエレガンスとはなにか、という理想を追求していったのです。
2014年に誕生した極薄手巻ムーブメント「900P」を搭載した「アルティプラノ」はそのなかで生まれた、エポックメイキングな時計です。この時計は構造自体に手を加え、時刻表示をずらしてスペースを確保し、なんと裏蓋に直接パーツを組み込んでいるのです。時計とムーブメントが一体化しているため、ムーブメント単体の厚みは計測できませんが、時計の厚みは3.65㎜。発売当時は世界でもっとも薄い機械式時計でした。
この時計の魅力は、薄さ、構造、デザインのすべてがアバンギャルドであるということ。一見しただけで普通ではないことがわかりますが、同時にエレガントさも失っていません。約48時間ものパワーリザーブも備えていて、ピアジェが60年前に提唱した“贅沢さと正確性”を忠実に受け継いでいるのです。