日本の風土に沿い、
窓からの風景を絞り込んだ
落ち着きある空間に。

リビングルームのソファはBさんがひと目惚れしたカッシーナのエローロソファ。「海に近いので、素材も金属ではなく木や革を使ってほしいと伝えました」。ソファのレザーに合わせ建材の色も決めたと言います。
「この家は天井に高低差をつけ、窓から見える風景を絞り込んだり、室内を暗くして外の風景を際立たせました。若い時はとにかく明るい家がいいと思っていたんです」と「大野の家」を思い出しながら吉田さんは続けます。
「色も白く、窓も大きくしました。でも明るい景色を見るなら室内は暗く落ち着いているほうがいい。いま私たちは白い壁や塗装で安易に仕上げるのは避けています。日本の風土や精神性を考えると、やはり庇や縁側は魅力的。家の奥から庭を見る美しさ、そうした感覚も取り入れていきたいんです。素材はあらゆる色をもっているのに合理性を重視して色を奪ってしまう。インテリアは構成に加え、質感でつくることもできるんです」
「押し付けがましさはなく、こちらが深く考えていないところまで引き出しくれることに驚きました。一方向の景色だけではなく、開放的ながら多面的に景色を楽しめるところいいですね」とBさんは言います。

上:週末になるとここでゆっくり時間を過ごすというBさん。趣味である音楽を楽しむことが多いとか。
中:造船関係の仕事に携わるため、双眼鏡で海を眺めるのはもちろん、仕事柄気になった船を見るために使うことも。
下:趣味のレコード。質感をもった「尾道の家」はクラシックなアイテムがよく似合います。