思いもよらないことも
楽しめるのが、
家というリアルな場の魅力。
鎌倉の中心部からも近い竹林に囲まれたこの家は、リゾートのようだとBさん。山あいから風が抜け、ガビチョウの美しい鳴き声が響く時間が格別であると続けます。
「実は住み替えを考え始めた時に夫婦それぞれで望む条件を出し合ったのですが、この家はほとんどすべてをクリアしていました。私が望んだひとつが窓のあるお風呂。ひとりで家にいる時はすべて開け放って入ることもあります」
Aさんは依頼主ではありませんが、谷尻さんはサポーズデザインオフィスの家で暮らす人々を、「状況を能動的に楽しめる大らかな方が多い」と評します。それが家を楽しむことにつながっているのではないかと続けます。住宅の機能だけを考えてしまうと土地の魅力が半減してしまうと谷尻さんたちは考えています。
「僕たちはクライアントの要望を無視することなく、自然に寄り添って人工物をつくっていきます。けれどすべての状況がコントロールできるわけもなく、目的と違うことも起こる。でも目的をもって建物に入り、意図と違う体験ができると心が動くこともあるでしょう。いまは目的だけを叶えたいのであればネットが近道。直線的ではなく寄り道ができ、新しい体験ができるのが現実の利点ですから」
家族構成:夫婦、子ども1人、犬1匹
構造・規模:鉄骨・鉄筋コンクリート造2階建
敷地面積:330.31㎡ 建築面積:60.24㎡
延床面積:113.62㎡(1階24.44㎡、2階下部57.18㎡、2階上部32.00㎡)