「ヴァン クリーフ&アーペル」が、12星座の輝きを腕時計に再現しました。

「ヴァン クリーフ&アーペル」が、12星座の輝きを腕時計に再現しました。

文:並木浩一

左から、「ミッドナイト ゾディアック リュミヌー」自動巻き、18Kホワイトゴールド、ケース径42mm、アリゲーター革ストラップ。¥13,068,000(税込)、「レディアーペル ゾディアック リュミヌー」自動巻き、18Kホワイトゴールド、ケース径38mm、ベゼルにダイヤモンドセッティング、アリゲーター革ストラップ。¥17,172,000(税込)

「光る腕時計」と聞いて、なにを想像するでしょうか。ヴァン クリーフ&アーペルの「ミッドナイト ゾディアック リュミヌー」、レディスの「レディ アーペル ゾディアック リュミヌー」は、ありきたりな先入観を覆し、さらに何倍も驚かせてくれる腕時計です。
星々が実際に光り、煌めく文字盤を12星座それぞれに揃えたこの腕時計は、クオーツではなく、バッテリーももたず、ソーラーでもない、れっきとした高級機械式時計なのです。電池もないのに星を光らせられるのは“圧電気”=ピエゾ効果とも呼ばれる、ある種の物質に圧力をかけると電気が発生する科学現象です。この物理学を、ヴァン クリーフ&アーペルは詩的に応用してみせたのです。
12モデルのエナメルをベースとする文字盤に、それぞれの星座の神話を彫金やプレシャスストーンを駆使して描き出します。星々はエナメルビーズで表されているのですが、その最も重要な4星から6星を、持ち主の願いに応じて光らせることができます。その意志を伝える方法は、8時位置のボタンのひと押しです。押し込む力が小さなゼンマイに力を蓄え、ボタンを離すと同時に放たれたエネルギーが、星を煌めかせるのです。美しいその輝きを鑑賞できるだけでも無上の体験ですが、真っ暗闇でもその光で密やかに時間を読み取ることもできます。時刻を伝える作法としてはミニッツリピーターにも匹敵する、極上の贅沢を備えた機械式腕時計。史上にも稀な逸品です。

8時位置のボタンを押し込むときには、押し返してくるような圧力を感じます。ボタンはスイッチではなく、光りを灯すための指令を伝えるためのものなのです。最後まで押し込んだところで指を離すと微かな振動とともにエナメルビーズの星々が数秒間光り、また消えていきます。

このために開発された特別なムーブメントを見ると、8時位置に圧電気の構造が隠されています。ボタンを押し込むことで内部のバネを巻き上げ、指を離すとともにひとつのホイールが高速回転し、外周の突起がセラミックのバンドを叩きます。この時に発生する圧電気を取り出し、LEDのバックライトを点灯させます。

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