東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第1回 フォード 「クーガ」/Ford Kuga
これぞアメリカの良心、フォード 「クーガ」。使い込めば使い込むほど手離せなくなる実用SUVはこれだ!
はじめまして。編集者の青木です。私は仕事柄、クルマを借りることが多くて、ほぼ毎日といっていいほどクルマで都内を走りまわってます。
そこで、この「東京車日記」では、話題のクルマや気になる一台を、普段の生活や仕事の延長で乗りまわします。それも、自分でそのクルマを買う気分で“可能なかぎり”乗り倒してみたい。そう思っています。
さて前置きはそれぐらいにして、記念すべき連載の第1回目は、フォードのクーガ。新搭載のエンジンが話題の2015年モデルで、試乗した走行距離はのべ1400㎞! 都内はもちろん、海へ山へと乗り倒した訳だけど、乗れば乗るほどフォードのフォードたるゆえんが、きっちり詰まった一台だと感じましたね、ええ。フォードはとにかく実用本位。創始者ヘンリー・フォードの言葉に「奉仕を主とする事業は栄える」という言葉があるくらいだから、使用者のことをそれこそ奉仕の精神で徹底的に考えたクルマづくりをしてる。クーガのようなスポーツヴィークルこそ、道具としてのクルマづくりにこだわるフォードらしさがみてとれますね。たとえばエアコンの送風口の調節ダイヤル。ここのホイールに少し抵抗をつけて重厚感を出すのと同時に、指との接地点にはラバーを巻くような気の効いたことをしてる。細かいとこだけど、こういうのがすごくいい。コクピットの内張りもまたウレタンのラバーなんだけど、埃や汚れもさっとひと拭き。皮やプラスチックのように傷や傷みの心配もなし。レーシーな印象とともに、シンプルさを好む漢気がフォードっぽくて好印象なんだよね。シンプルな道具感の中にも色気があるんです、ちゃんと計算された。
走りだせば、1.5ℓの直列4気筒のターボ付きエンジンが、走行状況にあわせて相当なトルク配分をするインテリジェントAWDとともに、軽快な走りを約束してくれる。エコブーストエンジンといって排気量を少なくして過給機で補う、いまやフォードグループのお家芸といえるエンジンだね。今回はそんなエコブーストの1.5ℓが新搭載されたんですが、これが最高! 体感値でいうと2.5ℓ以上のエンジンという感じ。どこからでもターボが気持ちよく効くので信号待ちでの軽やかな加速はもちろん、高速での「もうひと踏ん張りパワーが欲しい」というときでもぐっとひと伸び。乗員フルでも、余裕で追い越し車線に入れる。とくに首都高の合流なんかはこのターボ、かなり使えたな。アクセルの踏み方ひとつで“欲しいときに欲しい分だけ”効く感じ。ちなみに、オプションででも絶対にサンルーフにした方がいいです。クーガの走りとサンルーフが突き抜け感あって、相性抜群なので。
後ろの座席はほぼフラットに倒すことが出来るので、荷室も最大1600ℓとかなり積めます。家電はだいたい積めるし、自転車やショートボードも余裕。ルーフレールも標準装備なので、キャリアを取り付ければカヤックだって積めちゃえる。ボードやスキー板の類はルーフキャリアに積んで、大人数でわいわい海に山に行くのがクーガの真っ当な使い方ですね。AWDなので雪道も安心。燃費は実測でリッター平均10㎞というところかな。AWDターボの割に悪くはないはず。
まとめていうと、エコスポーツ、クーガ、エクスプローラーの3車種をフォードのアウトドア3兄弟とすると、クーガは中間のグレードに位置する。その中でシンプルすぎず、フォードの王道のコンセプトを体現している車種だと言えます。フォードがドライバーにどんなカーライフを送って欲しいと考えているかが、乗るたびにじわじわ実感できるクーガ。さながら道具が使うたびに手に馴じむって感じで手離せなくなるね。最後、返却するの寂しかったもんな。
●エンジン形式:直列4気筒 1.5ℓ ターボ
●最高出力:182ps/ 6000rpm
●トルク:240Nm/1600-5000rpm
●車両価格:359万円
問合せ先:フォードお客様相談室 TEL:0120-125-175