0.5度刻みでお湯の温度をコントロールする、スゴ技のコーヒードリップマシーンを体験してきました。
現在サンフランシスコに住むジェレミー・クエンペルは、無類のコーヒー好き。抽出するたびに変わるコーヒーの味を、毎日同じように楽しめないかいつも考えていました。MITの卒業論文に選んだテーマは、「コーヒーメーカー論」。仲間とともに2012年に「BLOSSOM COFFEE」を設立した彼は、コーヒーの味や香りを左右するのは、抽出時の豆の温度であることに注目。水をボイルさせて温度調整し、さらにその温度と抽出時間をメモリしておくこともできるドリップマシーンを開発しました。
ロースターの理想の味を実現するこのマシーン、「BLOSSOM ONE BREWER(ブロッサム・ワン・ブルワー)」が、ツカサ電工との提携により12月から一般発売されます。お披露目として、コーヒー抽出のプロセスを紹介し、味の実力をアピールする発表会が開催されました。マシーンの使い方は簡単で、給水タンクに水を注ぎ、挽いた豆を筒状の容器に入れ、温度とタイマーをセット。設定した温度のお湯が注がれて、テコの原理を応用したバーを押し下げてプレスすれば完了。湯が注がれたあとにヘラを使って豆をカクハンする工程があり、プレス作業も人力で行いますから全自動ではないものの、家庭用としても多少練習すれば上手に操れると感じました。
何よりもこのマシーンの驚くべき特長は、0.5度刻みでお湯の温度の設定と、抽出中の豆の温度を一定に保つことを可能にしたシステムにあります。会場では「88.5度」と「87度」という、わずか1.5度しか違わない抽出のコーヒーを飲み比べましたが、確かに味が異なりました!このとき使われた「ミカフェート」のシングルオリジンの豆の場合では、88.5度はあっさりと苦味があり、87度では、浅煎りならではの酸味が増した印象でした。どちらが豆に一番合う味とも言い切れず、好みの問題といえます。このデリケートな違いをマシーンで追求でき、200種類も記憶できるメモリ機能を活用して気に入った味を再現できるのは、コーヒー好きにとって至福の楽しみではないでしょうか。飲食関係の人には、顧客の好みの味を瞬時につくり出せる手放せない道具になるでしょう。コーヒー文化がここまで来たか!と感慨に浸らずにはいられない、魅力溢れる新製品の登場です。(写真ともに高橋一史)
ユニック・ジャパン ショールーム
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