気分を動かす5つの香りを、ポケットに。
1950年代には世界初の電池式トランジスタラジオ、70年代にはウォークマンと、家電を持ちだして楽しむ文化を発展させてきたソニー。2016年に創業70周年目を迎えた同社は、この「AROMASTIC(アロマスティック)」の発表会で披露した動画の最後で、次のようなメッセージを発信している。「時代が変わっても、我々は変わることのない『人間の心を動かす力』を信じている。心は70年前のまま。あなたとともに新しい物語へ」
そんなソニーが、70年という節目に新たな感動のキーワードとして提示したのが「香り」だ。アロマスティックは、五感の中で唯一、情動にダイレクトに伝わる「嗅覚」に着目した。同社独自の光ディスク技術を応用した香りのカートリッジ――なんと複数の香りを閉じ込め、長期間その香りを保持できる――を使い、5種類の香りを一度に持ち運べるようにしたのだ。
リップスティックをひと回り大きくしたサイズ感の本体上部をカチカチと回して香りの種類を選び、サイドにあるボタンを押すとトップからアロマが香ってくるという仕組みで、押している間だけ香りが立ちのぼる。通常のアロマディフューザーで香らせた精油や、スプレーして纏ったコロンや香水などは、自分だけでなく周囲にも香りが漂ってしまうが、アロマスティックは「気持ちのスイッチを切り替えるために自分だけに香らせる」という点で異なる。鼻から吸い込まれた香りは、大脳辺縁系を経て感情・本能に働きかけ、体温・睡眠、ホルモンバランスや免疫機能にまで作用するという。こうした香りならではの作用によって「あるべき自分に切り替えたい」「気分を解きほぐしたい」「本来の力を引き出したい」「感性を研ぎ澄ませたい」など、自分がこうありたいと願う状態に近づけるのだから、香りが人の心や体にもたらす力の大きさには驚かされる。
今回、アロマスティックが発売に至った経緯もなかなか新しい。研究ひと筋だった理学博士の藤田修二氏をチームリーダーとした、新規事業創出部のプロジェクトチームは数名。ソニーのクラウドファンディング「FirstFlight」を利用して支援者を募り、テストマーケティングを経て製品化されているのだ。本体はホワイトとブラックの2色展開だが、正式発売に合わせ、ブルーやピンク、ベージュのシリコンジャケットも追加され、香りのカートリッジもベーシック、ビューティ、ビジネスの3種類がラインアップしている。今後、種類はさらに追加されるそう。プレゼンの前の緊張をほぐすのにも役立つはず。これまでアロマには馴染みのなかった人も、アロマスティックによる新しい習慣をぜひ試してみてほしい。
本体カラーはホワイトとブラックだが、ブルー、ピンク、ベージュのケースも販売。各¥1,598
ソニー・アロマスティック
http://scentents.jp/aromastic