40周年を迎えたアウディの象徴、クワトロ。その誕生以前・以後を改めて振...

40周年を迎えたアウディの象徴、クワトロ。その誕生以前・以後を改めて振り返る。

文:塩見 智

40年前の1980年に開催されたジュネーブモーターショー。そのアウディブースのターンテーブルに、白い2ドアのファストバッククーペが飾られた。フューチャリスティックなショーカーではなく、当時販売されていた「80」というセダンをファストバック化しただけの一見、地味なクーペだった。その名は「アウディ・クワトロ」。 「4」を意味するイタリア語の車名は、フルタイム4WDシステムを備えることを意味する。

このシステムは、その後に登場する多くのハイパフォーマンスカーや競技車両がこぞって採用することで有用性が証明されることとなり、“技術による先進”というアウディのキャッチフレーズを最も明快に体現するシステムとなった。

クワトロがお披露目された際の写真。ややこしいことにフルタイム4WDのシステム名がクワトロで、そのシステムを最初に採用したモデルの車名もクワトロ。混乱を避けるために車名のほうは後年、「Ur(ウア。ドイツ語で”元祖”の意)クワトロ」と呼ばれるようになった。

第二次世界大戦で重要な役割を担った「ウィリス・ジープ」をはじめ、4WDを採用するクルマはクワトロよりも前から多数、存在した。スバルは雪深い地域を管轄する東北電力の依頼に応じるかたちで古くから4WDを開発しており、世界に先駆けて1972年にまずバンに、75年にはセダンにも設定した。

それらが悪路走破性を高める目的で、“必要な時にのみ”4WDで走行するパートタイムなのに対し、路面を問わず、持てるパワーを効率よく路面に伝え、より高い安定性を得ることを目的に、“常に”4WDで走行するフルタイムである点で、クワトロは画期的だった。

開発の先頭に立ったのは、アウディ開発担当役員のフェルディナント・ピエヒ。「フォルクスワーゲン(以下VW)・ビートル」を生み、ポルシェを創業したフェルディナント・ポルシェの孫であり、のちにアウディ会長を経てVWグループ全体の会長を長年務める人物である。

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