ハンス・J・ウェグナー
生涯に500脚以上もの椅子をデザインしたハンス・J・ウェグナー。彼ほど、木の椅子に精通した人物は他にいません。北欧の巨匠が突き詰めた「PP503」は、椅子のあるべき姿を示しました。
ハンス・J・ウェグナーが1950年にデザインした「PP503」は、彼のキャリアでは初期にあたる椅子です。先にデザインした「チャイナチェア」を発展させ、より純粋な椅子のプロポーションの実現を目指しました。その出来栄えは、自身も「初めて自分の良さが出た」と認めたほど。しかし発表当初、この普遍的な魅力は見過ごされます。転機となったのは、1960年に行われたアメリカ大統領選のテレビ討論会です。候補者のジョン・F・ケネディがこの椅子に座る佇まいが美しく、「これぞ椅子のなかの椅子」と「The Chair」の名で呼ばれるようになりました。
ウェグナーは量産品から職人の技術を活かした家具まで、工房ごとの特性に合わせてデザインを提供しています。それは、自身も木工の技術を有していたからに他なりません。「PP503」は現在、ウェグナーの願いから優れた加工技術を持つPP モブラーが生産しています。晩年まで工房に立ち寄り、職人に指導をしていたというウェグナー。現在でもその意志は忠実に守られ、職人の手作業により一脚ずつ丁寧に作り上げられています。
●問い合わせ先/スカンジナビアンリビング TEL03-5789-2885 www.scandinavian.co.jp