SUV市場は空前絶後のレッドオーシャン!? デザインで...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第46回 Peugeot 3008 GT Line / プジョー 3008 GTライン

SUV市場は空前絶後のレッドオーシャン!? デザインで越えろ! 黒船、プジョー 3008がやってきた。

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

2017年度ヨーロッパ・カーオブザイヤー受賞。全方位的に隙のない3008だけど、特にインテリアのファブリックの使い方には目を見張るものがあるね! 組み合わせ方として、この黒にグレーのファブリックは落ち着いてて大人の装い。ファブリック人気はまだまだ続きそうね。いい感じ。

最初にプジョー 3008を見た時、クルマのデザインはまた新しい時代に入ったんだなと実感しました。まず、その表現手法のなんと多彩なこと! 全体を織り成すプレスラインは線それ自体にグラデーションがあって、彫りの深さや強弱によっていろんな表情を見せる。ときに切り立った波頭のようであり、またある時は一滴の波紋のようにかすかな線だったり。デザインそれ自体にも階層があってベースのデザインに、まったく違う階層のデザインを上書きしてダイナミズムを生み出す感じ。

ここまで繊細で手の込んだ表現を可能にしたのは、3Dモデリングで構想されたデータを忠実に再現できるプレス機だったり、FRP成形技術だったりっていうハードの進化に他ならないだろうとは思う。それにつけても、これからの時代、クルマのデザインはここまで綿密にやれるって試金石として、3008が誕生した意味は大きい。この3008の発表前と後ではデザインの密度が違って見えるだろうなと思ったわけ。やっぱり時代は潮目を迎えたんですよ。それは間違いない。

なんかいきなり締めに入るような話になっちゃったけど(笑)、インテリアだって空間にダイナミックなねじれをつくりながら、曲線と曲線の対照性をとってうまく調和させてたり、エクステリア同様に当たり前のデザインにならないような細心の注意が払われてる。デザイナーのプレゼン風景が目に浮かぶようだよね(笑)。議論に議論を重ねて、結果このカタチになりましたって時間と労力がうかがい知れる。この3008のデザインがフランス車っぽいかというと、そんな気があんまりしないのもその辺に理由があるのかな。

ここまでやるのには理由があって、いまこの車格のSUV市場はどのメーカーも絶対負けるわけにいかないホットゾーンだからに他ならない。3008は走りもいいよ! BMWとの協業による1.6リッター・ツインスクロールターボエンジンは相変わらず陽性のエンジンフィールで気持ちよく走るし、足周りもプジョーらしく路面からの入力をこなれた屈伸運動でしなやかに受け流す。気持ちよく走るから遠出したくなるってプジョーらしさも健在。

レーシーなハンドル形状も運転してて楽しいし、大人4人がゆったり乗れて荷物もガッチリ積める。その状態でも車重を意に介さない軽やかさには舌を巻くってものですよ。今回、地元サッカークラブの合宿にこのクルマで参加してて、60代後半の総監督を助手席に乗せて移動しまくってたんだけど(笑)、何かにつけ「これで行こう❤」なんて気に入られぶりだったり、普段ミニバンに乗ってる友人も「買います」宣言したり、クラブの子どもたちもわいわい集まってきて、その評判も上々だった。

考えもしなかったけど、3008は日本国民のなかなか広い世代に受け入れられるポテンシャルがあるらしかった。乗れば納得の走り。でもここはもうある程度、担保できてるから、大きな付加価値はデザインに投資したというのが3008の真相なのだとすれば、その試みは正解だったと思う。このデザイン重視の傾向は、このあとのSUV市場におけるグローバルスタンダードの先駆けとなるはず。戦いの火蓋は切られた。それとともに3008が日本のクルマ社会の風景を少し変えてくれる存在になるのかもしれない、なんて淡い期待もしたんだよね(笑)。

●エンジン:1.6リッター直列4気筒ターボ
●出力:165PS
●トルク:240Nm
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:¥3,960,000~

●問い合わせ先/プジョーコール
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