東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第14回 プジョー 208 GTi by プジョースポール/PEUGEOT 208 GTi by PEUGEOT SPORT
君がミシェルなら僕はアレックス!? 出逢うはずのなかった二人が出逢った、奇跡のプジョー・スポールとは?
308 GTiの方が話題のこの時期に、あえて乗りたい208 GTi by PEUGEOT SPORT。というのも、うっかりネットでこのマットカラーを見つけたら、問答無用で「こっち!」ってなった訳です。そもそもプジョーはグロッシーなボディにクロームパーツが差し色みたいに入れられてるのが王道、って感じがするんだけど、フレンチ・ホットハッチの代名詞208 GTiにマットカラーの取り合わせが素晴らしい。そもそもスポーツカーでファッションってかなり無理めのリクエストだと思うんだけど、相当なクルマ好きなファッション関係者が3回ぐらいまわってアリにするところを、直球でアリと言わせちゃう力がこのクルマにはある(笑)。たとえばみんな大好きな細身のパンツにスニーカーとかめちゃくちゃ合うじゃないですかー。ベレー帽かぶって! 薄手のコートをはおって! セルフレームの眼鏡をかけたら、『ポンヌフの恋人』のミシェルみたいに「パリーーー!」って叫びたくなる完璧感あるね(笑)。
ランボルギーニとかGクラスとかM5とかマットカラーの大型車ってわりかし都内でも見るんだけど、小型車で、それもフランス車でマットカラーは絶対見ない。また色合いが黒ともシルバーとも言い切れないクラウディなカラーリングなんだな(笑)。それがこのクルマのマインドともぴったりくる。プジョー・スポールによるピリッとレーシーな走行性能をもちつつも、いわゆるピーキーでスパルタンな走りとは方向がまるで違ってる“都会のホットハッチ感”っていうかな。足回りは全然硬められてなくてしなやかさを保持、それでいてブレンボの大径4ポッドキャリパーでブレーキはガツンと効く。嗚呼、まるで都会を走るために生まれてきたアーバン・ホットハッチだね、キミは。ため息ついちゃうって。
あとこのエンジンはBMWのOEM供給を受けてて、そこがお得みたいな事をよく言われてきたんだけど、実はそれ以上にターボの伸びやかな加速を軽快で陽性のドライブフィーリングに変える術がすごく秀逸で、フォルクスワーゲン、フィアットはもちろん、ルノーやシトロエンとも一線を画す独特の祝祭感があるんだな。おおざっぱな分け方すると確かにラテン車なんだけど、この味付けにマイスター的な専門のチューナーがいるのかと思わされるぐらい繊細なんだ。惜しむらくはこのプジョー・スポールの仕様が左ハンドルのMTのみなんだけど、アレックス。運命を信じなさい!(笑)。パリのポンヌフ橋で無理めの恋人見つけるより、全然楽勝で乗りこなせるようになるはず。キミは東京のポンヌフと呼ばれる二子橋近く、玉川髙島屋前でジュリエット・ビノシュに出逢ったんだ!ってね(笑)。
●エンジン形式:1.6ℓ直列4気筒ターボ
●最高出力:208ps/6,000rpm
●最大トルク:300Nm/3,000rpm
●トランスミッション:6速MT
●車両価格¥3,686,600