スティーブ・マックイーンが愛した大人の定番。
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一第5回「レイバン シューター」
50歳という若さでこの世を去って38年が経ったいまでも、スティーブ・マックイーンは私たちにとって、永遠不滅のスタイルアイコンです。まさに、「キング・オブ・クール」。端正な顔立ちとルックスのよさ、映画のなかでスーツからカジュアルまで見事に着こなす彼の姿に誰もが憧れました。そんな彼が愛したワードローブの中から5アイテムを厳選して紹介します。第5回でご紹介するのは、『ジュニア・ボナー華麗なる挑戦』(72年)で、ロデオチャンピオンの役でかけていた、ティアドロップ型の大きなレンズが特徴的な「レイバン シューター」です。
「レイバン」を代表するサングラス「RB3138 シューター」は、1937年に発売した「ナビゲーター」に続いて開発されたモデルです。人間の視野をフルカバーするためにデザインされたティアドロップ型の大きなレンズ。そして、汗の流れを抑えるブリーパーのデザインが特徴的です。ブリッジは狭い幅で大きなレンズを保持できる強度を求め、リング形を採用したそうです。モデル名通り、シューティングやハンティングなどのスポーツで多く愛用されたモデルです。
スティーブ・マックイーンは『ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦』(1972年)に、このサングラスをかけて出演しました。彼の役柄はロデオチャンピオン。大会を求めて各地をまわる渡り鳥の人物です。大会に出場するために故郷アリゾナ州プレスコットに戻ってきた彼は、ピカピカのキャデラックに乗る友人レッドに出くわし、彼に借金を申し込みます。その返事を待つ間に、マックイーンは、中指でずり落ちそうなこのサングラスを押し戻しました。そのしぐさ、痺れるようなかっこよさです。一説にはこれはマックイーンのアドリブだったとか。生来身に付いたものなのですね、きっと。
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