西海岸のいまを知る、モダンクラフトのミュージアム
写真:永井泰史 文:佐藤千紗

#24

店内で開催中の「ローソン・フェニング」ポップアップ・ショップ。ヴィンテージのようですが、現行品です。

ファッションの街・原宿に、本格的なモダンクラフトの宝庫が眠っていたとは! そんな驚きを与えてくれるのが、明治通りに面したファッションとクラフトの複合ショップ「CPCM」です。「Crafts and Permaculture Country Mall」の名が示す通り、広大な2階フロアには、陶器、家具、照明、ラグなど、多種多様なアイテムが所狭しと飾られており、その品揃えで訪れるものを圧倒します。

カリフォルニアのモダンクラフトを中心にしながら、ヴィンテージ、日本からヨーロッパ、さらにはメキシコの民芸まで、時代も、洋の東西も問わず、集められた品々が並べられたさまはまるで博物館のよう。見たことのないさまざまなアイテムが不思議と調和する魅力的なコーナーをつくり出したのは、ディレクターである熊谷隆志さん。現在は、LAのインテリアショップ「ローソン・フェニング」の日本初となるポップアップ・ショップが開催されています。

アントレー・メイドによるLEDランプ¥68,000~。生き物のような有機的なフォルムはセラミック製。

ニューヨーク出身で現在はLAを拠点に作陶するヘザー・ローゼンマン。地質学や数学がモチーフに。

釉薬にラバーを混ぜて溶岩のようなテクスチャーを生み出しているヘザー・ローゼンマンのフラワーベース。

同じくヘザーの作品。こちらはジオメトリック柄と豊かな丸みをもつフォルムが古代の土器のよう。

別注したターコイズの照明、ウィンドベル、植物柄の陶器を組み合わせたディスプレイは真似したくなります。

多肉植物のようなメレディス・メットカフのストーンウェア¥18,000~。プラントカバーとしても使えます。

「ローソン・フェニング」は、カリフォルニアの自然美とミッドセンチュリーのデザインを融合させたスタイルで人気を集めるインテリアショップ。もともと美術学校でデザインを学んだローソンとフェニングは、ヴィンテージにアレンジを加えた家具から出発したといいます。そのためか、彼らがデザインするオリジナルアイテムにはヴィンテージ感と現代的な香りがほどよく両立されています。さらにオリジナルに加えて扱うのが、カリフォルニアを中心としたデザイナーやアーティストの作品。

たとえば、有機的なフォルムが50年代のフランスの照明デザイナー、セルジュ・ムイユを彷彿とさせるジェイソン・コアリックの照明は、ポップな色使いがミッドセンチュリースタイルのアクセントにぴったり。プリミティブなテクスチャーと洗練されたフォルムのヘザー・ローゼンマンのセラミックは、サイドボードの上に飾るアートピースとしても存在感を放ちます。花びらをモチーフにしたメレディス・メットカフの陶器はサボテンや多肉植物の鉢カバーとして、購入する人も多いそう。こうした実用性だけでなく、自然や手仕事の温かさを感じるクラフトを手掛けるデザイナーや作家たちが、近年LA周辺に集まっているといいます。そうしたインディーなコミュニティの雰囲気がショップにも醸し出されています。

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