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布がもつあたたかな肌触りを求める季節。第1回に続き、今回も椅子とテキスタイルのコラボレーションアイテムを紹介します。いまや世界でも人気を集めるマルニ木工の名作椅子、HIROSHIMAが出会ったのは、米国オレゴン州のポートランドで長年愛されてきたファブリックメーカー・ペンドルトン。実はこのユニークなコンビネーション、インテリアスタイリストの作原文子さんの提案から生まれたものなのです。
2015年春、仕事で訪れたポートランドでペンドルトンの古着と出会った作原さん。そのあたたかみとウールのクオリティに、すっかり心奪われたといいます。同じ頃、深澤直人さんがデザインしたHIROSHIMAをスタイリングする機会のあった彼女は、両者の魅力を組み合わせると面白いのではないかと、マルニ木工に伝えました。「HIROSHIMAは、ミナ ペルホネンともコラボレーションをしています。そのモデルはかわいらしい女性的なイメージだけど、ペンドルトンは男性的でHIROSHIMAの異なる魅力を実現できるのではないかと思ったのです」とマルニ木工の広報、橋爪沙織さんはいいます。両者の思いがひとつになり、今回の限定モデルにつながりました。
このコラボレーションで誕生した椅子は、作原さんが主宰する「マウンテンモーニング」の限定モデルとして販売することとなりました。ブランドでもメーカーでもないマウンテンモーニングとは、スタイリングの仕事を通じて親交のあるフォトグラファーの作品を紹介する機会になればという思いから、作原さんが5年前にスタートしたプロジェクトです。
「写真のアートとしての価値を、インテリアのスタイリングを通じて伝えたいと思ったのがきっかけです。そのために、見せる機会をつくるプロジェクトをはじめました」と、作原さんは言います。オリジナルプリントやポストカードを販売するイベントを開催する中、やがて彼女のスタイリングのために協力してくれるショップやメーカー、そして編集者やデザイナーたちが仲間に加わっていきました。これまでの出会いがきっかけとなって、オリジナルプロダクトを製作し、新たにポップアップショップを開催するまでにプロジェクトは育っていったのです。
「生活の要素がいろいろとあるなかで、すがすがしいものを通じて、みんなが元気に、楽しい時間を迎えようとしている力になるように」という作原さんのスタイリングに共感する現場のスタッフたちの思いが、「マウンテンモーニング」という場に集まるものの魅力にもつながっていると言えるでしょう。
12月12日(サテライト会場は11日より)にスタートする「mountain morning “WHITE”」は今回が3度目の開催。会場には、参加するフォトグラファー37人の作品と、アート、インテリア、ファッション、そしてフードまでさまざまなクリエイターやメーカー50社近くのアイテムが一堂に会します。メイン会場の代官山T-SITE GARDEN GALLERYとサテライト会場となるマルニ東京で、このHIROSHIMAマウンテンモーニングモデルも限定販売されます。人と人とのつながりから誕生した、イベントを代表するアイテムである椅子の魅力に、ぜひ触れてみてください。