星空にユニコーンが駆ける、独創的な傑作。
VAN CLEEF & ARPELS ヴァン クリーフ&アーペル

星空にユニコーンが駆ける、独創的な傑作。

岩崎 寛(STASH)・写真
photographs by Hiroshi Iwasaki
並木浩一・文
text by Koichi Namiki

圧倒的な複雑技術を駆使し、かつてどこにもなかった詩的なファンタジーを表現する―。

現代のヴァン クリーフ&アーペルが持ち得た独創的な作風から、またひとつ傑作が誕生した。「ミッドナイト ニュイ リュミヌーズ ウォッチ」は文字盤に星座を光らせることができる、あり得ないような機械式時計である。

アヴェンチュリンガラスの夜空にミニアチュール ペインティングで星座を記した、文字盤の天空図。ひときわ目立つエナメルビーズの星々に生命を吹き込む魔法のスイッチが、ケースの8時方向にある。そのボタンのひと押しで一角獣座の6つの星が発光し、ユニコーンの姿が浮かび上がるのである。ヴァン クリーフ&アーペルの〝ポエティック アストロノミー〞、詩的な天文時計でも初めての表現方法であり、まったく新しいコンプリケーションである。

レトログラード式のアワー表示を装備した機械式自動巻きムーブメントは、ヴァン クリーフ&アーペルのために特別に開発された。〝光る機械式時計〞が秘めたライト・オン・デマンド・モジュールの構造は、ボタンを押し込む力で内蔵したセラミックのリボンが振動し、電気を発生させる。圧電効果と呼ばれるこの現象を利用し、LEDのバックライトで文字盤上の星座を光らせるのである。この発電メカニズムに関してはいま、特許も申請中であるという。

これだけ物理学的で現世的な種明かしをされても、その神秘性は少しも色褪せていない。技術の誇示ではなく、未知の技法で描かれた夜空の美しさが優越するからだろう。それは「一角獣座よ、輝け」という神の命令に等しいのであって、それが不思議に実現するということなのだ。

その美しい夜空の下で時間を知りたいのであれば、ダイオードの仄青い光で、時針だけの時間を読み取ることができる。ブラックアリゲーターの革ストラップが映える一本は、間違いなく「腕時計以上の価値がある腕時計」である。

ミッドナイト ニュイ リュミヌーズ ウォッチ

自動巻き、18Kホワイトゴールド、ケース径42㎜、レトログラードアワー、パワーリザーブ40時間、文字盤にアヴェンチュリンガラスとエナメルビーズ、ブラックのアリゲーター革ストラップ、発電メカニズムに関する特許申請中。¥13,284,000(税込)
ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク Tel:0120-10-1906
星空にユニコーンが駆ける、独創的な傑作。