Vol.33 スタッキングチェア
Vol.33
Vol.33 スタッキングチェア
スタッキングチェア

ルシアン・アーコラーニ

文:佐藤早苗 編集:山田泰巨

イギリスを代表する家具メーカー「アーコール社」を立ち上げたルシアン・アーコラーニがデザインした「スタッキングチェア」。軽量で丈夫、積み重ねられることから、イギリスでスクールチェアとして広く普及しました。一時は生産が途絶えたものの、この椅子に愛着をもっていたマーガレット・ハウエルの働きかけで2004年に復刻され、再び人気を集めています。

イギリス伝統のウィンザーチェアの特徴である、木製の座面に脚が直接差し込まれたデザイン。座面に現れる4つのジョイントはデザインのアクセントにもなっています。サイズはW450×D500×H770×SH440mm

幼少期にイタリアからイギリスに渡り、1920年にアーコール社を立ち上げたルシアン・アーコーラーニ。1956年に彼がデザインを手がけたスタッキングチェアは、社を代表する有名な椅子のひとつです。

イギリスの伝統的なウィンザーチェアの特徴を備えながら、軽量で耐久性のある椅子は垂直に複数脚を積み重ねることができます。56年の発表から60年代にかけて数千台が生産され、スクールチェアとしてイギリスで広く普及しました。しかし、あまりに多く生産されたために家庭用として根付くことはなく、生産中止に。その一方でビンテージチェアは高く評価されていました。そんなスタッキングチェアに転機が訪れたのが2004年のことです。子どもの頃からスタッキングチェアに愛着をもっていたデザイナーのマーガレット・ハウエルが、アーコール社とのコラボレーションによって復刻させたのです。これにより再び脚光を浴びることとなったスタッキングチェアは、現在もアーコラーニの子孫が経営するアーコール社でアーコールオリジナルコレクションとして、カラーバリエーションも豊富に生産されているのです。

放射状に広がる脚部と背もたれは同じシェイプ。緩やかにカーブした背もたれと窪みをつけて成型した座面が優しく身体にフィットします。

シンプルで美しいだけでなく、軽量で耐久性に優れたスタッキングチェア。その名の通り垂直に積み重ねられることから、スクールチェアとして重宝されました。

Vol.33 スタッキングチェア