東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第51回 Audi RS 7 Sportback Performance / アウディ RS 7 スポーツバック パフォーマンス
後ろ姿を見せつけて!? “リアル”ファストバックなアウディRS 7でグランピングに行ってきた!
メルセデスのAMG GT 4ドアの噂を聞いた時、ポルシェの新型パナメーラとともに、世界的に4ドアのクーペボディがトレンドになりつつある!と思ったわけです。そこで注目してほしい。首都高でも東名でも第三京浜でもいいんだけど、追い越し車線を走っていたら、後ろに見慣れたドイツ車がつきました、と。「あぁ、アウディか」と左に車線を譲り、抜いていったクルマの後ろ姿がこのファストバック。よく見るとRS 7の刻印。その瞬間、「エグい!」って思っちゃうはずなんだよね(笑)。このファストバックが、RS 7の羊の皮をかぶった狼的キャラクターをよく表しているんだな。605馬力にトルクは700Nmで、パフォーマンスだけでいえば、完全にスーパースポーツカーですよ。
その神髄を探るべく、男性4人でグランピングに行ってきたんだけど(笑)! これがなかなか忘れがたい体験となったね。走り出しはアウディらしい軽量高剛性の4ドアクーペ。でもアクセルを踏むと軽やかにブゥンと、前方へワープするような異次元の加速が味わえる。4ℓ V8エンジンが咆哮することはないし、高級サルーンのようなV12エンジンの渦に吸い込まれるような加速ともまた違う。ブレーキはしっかり効くけど、アクセルはリニアに反応するって感じでもない。常用域のスピードで完璧にアウディらしい走りをしながら、その1段階、2段階上のパフォーマンスを誰にでも使いこなせるようにしたクルマなんだ。
それはAMG GTやパナメーラのようなレーシング性能を演出し、感じさせるものではない。だから普通に4人でわいわい会話して、気持ちよく走っていたら、誰も気づかないまま相当なスピード域に入っていたみたいな感じなんだな(笑)。まるでタイムマシンか、宇宙船みたいな感じ。キャンプ場に続く、峠のナローなワインディングでも待ってましたとばかりに、アウディらしいクワトロ(フルタイム4輪駆動)の安定した挙動でぐんぐん次のコーナー目指して登っていく。この時期、峠道は雨で濡れた落ち葉が堆積していたりして、怖かったりするんだけど、その手の不安もなし。むしろ未舗装路も相当走れるから、これなら雪道だって待ち遠しいだろうなって思っちゃったね(笑)。
これらはおそろしくアウディらしい快適さに裏打ちされているんだけれど、その理由はダイナミックライドコントロール(DRC)と呼ばれるダンパーの減衰力のセッティングを変える機能によるところが大きい。これはダイナミックやコンフォート、カスタムで固定してもいいんだけど、オートというモードがあって、その走りに合わせてクルマが足回りのセッティングを自分で判断して変えてくれるもの。流して走れば快適なコンフォート、スピードを出したりワインディングを走っている時は硬めだったり、そのつどセッティングを変えるわけだけど、この組み合わせがRS 7には最高なんだな! さすがアウディだなって感心したんだけど、同時にRS 7を見ない理由もなんとなく想像がついたんだよね(笑)。
やっぱり速いクルマは速そうな演出が好まれるってことなんじゃないかな。「俺はいま速い」って陶酔させる演出は自分も含め、上の年代の多くは確実にほしいはず。反面、スポーツカーの約束事には興味がないけど、とにかく速くて静かで快適なクルマが欲しいっていう層も必ずいる。その層がまだ気づいてないんだね、RS 7の存在に。イメージで言うとクルマについて多くのことは語らないけれど、走らせるとめちゃくちゃ速いってタイプのオーナーね(笑)。そのスタンスはとてもクールだと思うし、数だって決して少なくはないと思う。個人的には、このファストバックをもっともっと見たい。そして、その稀少性にシビれもしたいから(笑)、あんまり売れてほしくもないってアンビバレンツな気分もあったりだね。このRS 7は。
●エンジン:4ℓ V型8気筒ターボ
●出力:605PS
●トルク:700Nm
●トランスミッション:8速オートマチック
●車両価格:¥18,570,00円(税込)~
問い合わせ先/Audi コミュニケーションセンター
TEL:0120-598-1066
www.audi.co.jp