アルファ ロメオよりアルファ ロメオな新旗手、その名は...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第54回 Alfa Romeo Giulia Quadrifoglio / アルファ ロメオ ジュリア クアドリフォリオ

アルファ ロメオよりアルファ ロメオな新旗手、その名はジュリア。戦慄のOMG(オー・マイ・ジュリア)!

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

最上位モデルのクアドリフォリオに乗ることで、逆にエントリーモデルのポテンシャルの高さもうかがい知れるジュリア。毎日の足として楽しく乗りこなすのに、この基本設計は最適ですよ。エントリーモデルは¥4,460,000(税込)~

2011年に、4ドアセダンである159の生産を中止してからの4年間。アルファ ロメオのラインアップは、ハッチバックのジュリエッタとMITOの2車種のみというもの悲しい状況が続いていました。15年にハードコアなライトウェイトスポーツカーである4Cを発表して再び存在感を示し、満を持して発売されたのがこのジュリア。それも24年ぶりの後輪駆動で、これがホント待ったかいがある素晴らしい4ドアセダンなんだ!  小ぶりのボディにフロントにはお馴染みの盾形グリルがインパクトを放っていて、見る角度によってさまざまに表情を変える。ショルダーラインからテールエンドの美しいラインはクーペスタイルと形容したいし、最上位モデルのクアドリフォリオならではの細部のエレメンツをぐっと凝縮した存在感は小さなジュエリーみたいだ。

走り出すとこの小さなジュエリー感は、いっそう実感できるようになる。1,710kgという、このクラスの高級セダンにしては桁違いの軽量化を果たしていて、ドアの開閉音からして軽やか。そしてハンドルに付いているボタン式のスターターを押して走り出すと、軽量高剛性のボディに、並々ならぬ心臓を抱えていることに気づかされる。車両バランスが前後50:50で後輪駆動、さらに軽量化されたボディのクルマって、往々にして「もっとパワーと大人の色気があったら最高なのに」っていうリクエストが生まれがちなんだけど(笑)、期せずしてジュリア クアドリフォリオはそこに応えてくれている感覚があるんだ。

その色気の真価は間違いなく、フェラーリから引き抜いたエンジニアが設計したという2.9ℓのV6ツインターボにある。太くてレーシーな排気音の咆哮は軽いボディとあいまって、官能と危うさを漂わせる。ジュリア クアドリフォリオの醍醐味は、このエンジンを大径で、冷たくなめらかな金属の触感のパドルシフトを操り続けることにこそある。これがね。ドライブモードをダイナミックにしていても、軽い重心移動だけでテールがスライドしそうになるぐらい、すでにタナトスのにおいがしているんだけど(笑)、安全装置を完全にオフにしたレースモードにするとジュリアは、いよいよその本性を現す。

「レースモードはパドルシフトがお薦めです」とか誘ってくるんだ(笑)。それを見たとたん、“OMG(オー・マイ・ジュリア)!  帰ろうぜ、あのC2中央環状へ!”ってなもんですよ。もうアドレナリンが止まらなくなり、やばいやばいと我に返って、モードをダイナミックに戻すんだけど、ふと気づくとまたレースに入れ直している。嗚呼、背徳のジュリア。「アヴェ・マリア」で「マンマ・ミーア」って感じかな(笑)。あははは。驚いたのはハードコアな4Cとの熱い血統とそのつながりをちゃんと感じられたし、遠くにフェラーリやマセラティだって見えていること。空白の4年間は、このためにあったのだろう。アルファ ロメオはよりアルファ ロメオであろうとして、新たなブランドネームを手に入れた感があるね。

アルファ ロメオ ジュリア クアドリフォリオ
●エンジン:2.9ℓ V型6気筒ツインターボ
●出力:510PS
●トルク:600Nm
●トランスミッション:8速オートマチック
●車両価格:¥11,320,000(税込)~

問い合わせ先/アルファ・コンタクト
TEL:0120-779-159
www.alfaromeo-jp.com