18世紀の天才時計師の名が、超高級&希少なブランドとして現代に復活!
鎖引き(フュゼ・チェーン)やトゥールビヨンは時計の精度を高めるための伝統的な複雑機構ですが、このふたつを現代の技術で高度化して搭載したコレクションが日本で初めて披露されました。
ブランド名は「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー」。18世紀のパリで活躍し、マリンクロノメーター(海洋精密時計)で高く評価された天才時計師、フェルディナント・ベルトゥーに惚れ込んだ「ショパール」のカール-フリードリッヒ・シュイフレ共同社長が復活させたブランドです。2015年に誕生したファーストモデル「FB 1」は、翌年のジュネーブ・ウォッチ・グランプリで「金の針賞」の栄誉に輝いています。
八角形の個性的なフォルムにオフセンターのダイヤル。その下部に縦長の窓を開けていますが、実はケースバックこそが真骨頂。大口径のトゥールビヨンと、フュゼ・チェーンのパーツが遮られることなく見られるのです。詳しく紹介していくと、前述した八角形のフォルムは、ワンピースのシリンダー状ケースをコアとして、左右からふたつのパーツが挟み込み、その天地にラグを組み入れる構造になっています。この丸みを帯びたケースサイドの小窓から見られるのが、フュゼ・チェーンで使われる微細なチェーンなのです。
鎖引き(フュゼ・チェーン)とは、時計の動力であるゼンマイがほどけるに従って低下するトルク(回転圧力)を一定に維持する仕組み。主ゼンマイを収めた香箱から回転エネルギーを直接伝達するのでなく、円錐形のドラムのようなパーツ(フュゼ)を介し、これをチェーンで引っ張るようになっています。ゼンマイがいっぱいに巻き上げられて強いトルクが発生する時はこのドラムの直径が小さく、ゼンマイがほどけトルクが弱くなるに従って直径が大きくなっていきます。それによって回転トルクが一定となり、テンプが往復振動する振り幅も均等となって高精度を維持できるわけです。
もうひとつの複雑機構であるトゥールビヨンも、キャリッジにまとめた調速脱進機を回転させることで、重力の影響による精度低下を回避する仕組み。つまり、マリンクロノメーターで知られるベルトゥーの精度へのこだわりを現代に継承した、ふたつのアイコニックな複雑機構を搭載した腕時計といえるでしょう。
また、トゥールビヨンのキャリッジは1分間で1回転するため、スモールセコンドも兼ねるのが普通ですが、歯車を連結することでトゥールビヨンでは珍しいセンターセコンド式になっています。パーツ数は1120個にも及び、そのうち790個がチェーンに費やされているにもかかわらず、信じられないほど軽量でスリム。これだけのパーツを搭載しながら、ムーブメントの厚さはわずか8㎜。ケース厚でも13㎜に抑えられています。
そのほかにもさまざまな技術が導入されており、バリエーションを拡大。ムーブメントを固定する3枚のプレート(ハーフブリッジ)をサファイアクリスタルにした透明感の高い「FB 1.4」(上写真)や、レギュレーター・モデルなどがラインアップされています。いずれも5〜50本の限定生産で、中心価格帯は2500万円台から3000万円台。超高額なレアピースですが、時計通にとって感動と驚きに事欠かないコレクションに違いありません。
問い合わせ先/ショパール ジャパンプレス TEL:03-5524-8922