“リアル”アイドルを探せ!? 東京街乗りNo.1は、ア...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第110回 ALPINE A110S / アルピーヌ A110S

“リアル”アイドルを探せ!? 東京街乗りNo.1は、アルピーヌ A110Sで決まり。

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

エンジンをパワーアップして、専用のチューニングが施されたA110S。

復活を果たしたフランスのスポーツカーメーカー、アルピーヌのA110Sに乗った。連載110回目にしてA110Sですよ(笑)。それはさておき、A110Sは先んじて発売されたA110をよりスポーティにしたという位置づけなんだけど、実際は表裏一体。A110をドリフトが楽しいハンドリングマシンだとすると、A110Sはアルピーヌの創業者でレーサーだったジャン・レデレと、フランスの威信にかけてグリップ走行でタイムを削りにきたというところ。まぁ、どちらにしてもファン・トゥ・ドライブに変わりはないんだけど(笑)、A110Sはホントに速い。

車体重量わずか1110kgは、走り出した瞬間に、電撃に打たれたように知覚されるのね。改めて「軽いって最高」と痛感させられたんだ。そこのところはフィギュアスケーター、浅田真央のトリプルアクセル+ダブルトゥループのコンビネーションのすごさを思い出すという感じ!? 技術はもちろんだけど、体重や体格も天賦の才ですよ。後は持ち前の軽さをどの方向に伸ばすかで、A110とA110Sは違いを見せている。

その軽量性故に、アクセルワークだけできびきびと走る挙動にはハンドルを叩きながら「最高!」と声が出る。まず東京の街乗りで、アルピーヌほど軽快なリズムを刻めるスポーツカーは存在しない。それもすべてはクラス最軽量を誇る車体の軽さによるもの。とはいえサーキット専業のようなストイックさを微塵も感じさせないところが、肩の力が抜けた大人のスポーツカーって感じなのね。それでいて普段着のアイドルとかではなくて、華があり、秘められた野性と色気がある。

それはフランス車らしいアイデンティティでもあるし、まるで全盛期の西城秀樹(フランス語で歌ってフランスデビューしたこともある)が「ヤングマン」を歌うような煌めきとアンビバレンツさに相通ずるものがあるのね(笑)。ピュアスポーツの瑞々しさはそのままに、荒々しさやたくましさはプロフェッショナルとして内に秘めておく「リアル・アイドルの美学」っていうかね(笑)。とにかくプロに徹しているので、まったく乗り手を選ばないし、リクライニングしないサベルト社製のバケットシートでさえ優しいホールド感で、お国柄の「自由、平等、友愛」を感じさせるんだ(笑)。

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