気分はグレッチのギターをかき鳴らすロックスター⁉ E...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第129回 1970 Jaguar E Type Roadster Series 2 / ジャガー Eタイプ ロードスター シリーズ2

気分はグレッチのギターをかき鳴らすロックスター⁉ Eタイプ シリーズ2で、 60 年代ロンドンを夢見たい

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

ジャガーEタイプ。そのシリーズ2は1968年にデビュー。ヘッドライトカバーがないのが特徴だ。

「ジャガーEタイプ」デビューした日は、ビートルズがエド・サリバンショーに出演した日に似ている。それまで保守的だった英国が「生まれ変わった」ことを印象づけた日だからだ。

1961年のEタイプのデビューは、ビートルズと細身のスーツ、ツイッギーとミニスカートといった、英国のユースカルチャーが世界を席巻する「スウィンギング・シックスティーズ」の幕開けを予感させていた。Eタイプは、ビートルズのジョージ・ハリスンをはじめ、サックスプレイヤーのジョン・コルトレーンやブリジット・バルドーといった、時の著名人に愛されたんだ。

この個体は、70年製のいわゆるシリーズ2と呼ばれるモデルにあたるのね。これもまた、実際に走るクルマとは思えないほど美しい(笑)。主戦場だった北米市場の安全基準に合わせてデザインの変更が入っているものの、シリーズ2はシリーズ1の面影を色濃く残している。

生産から50年が過ぎた現在の眼で見ると、シリーズ2はスウィンギング・シックスティーズの熱狂を継承しながらも、70年代における2シータースポーツの先駆け的なデザインなのが、よくわかるのね。代名詞となった4・2ℓ直列6気筒エンジンを縦置きで格納しているロングノーズに、モダンで宇宙船のような流麗なスタイリング。ホイールハウスの内側にぐっと入ったワイヤーホイールのコントラストが、華奢で洗練されたイメージを醸しだす。

シリーズ1より全体の意匠はシンプルになり、クラシックなたたずまいのなかにも、工業製品としての息吹が感じられる。ロボットデザインにおける鉄人28号からマジンガーZへの進化じゃないけど(笑)。この時代に生まれる機能美が全体のスタイリングを引き締めているのね。スウィンギング・シックスティーズの文化でいうとメタルパーツを大型化したベスパのようで、モッズっぽいクルマになっている(笑)。

 

1 / 2p