嵐の夜こそ走りたくなる、新型メルセデスSクラス。切れ者...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第128回 Mercedes-Benz S500 4MATIC long / メルセデス・ベンツ S500 4マチック ロング

嵐の夜こそ走りたくなる、新型メルセデスSクラス。切れ者プロデューサーが手がけたバラードのようなマナーとは

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

格納型のドアハンドルなど、エッジをなくし新しいコンセプトを追求した新型Sクラス。

欧州高級セダンの代名詞、メルセデス・ベンツSクラスが8年ぶりのモデルチェンジを行った。クラス初の4WS(後輪操舵システム)を搭載。先だってモデルチェンジしたEクラスと同じ方向性の外装デザインに加えて、インテリアはスイッチ類を極力減らし、操作系をディスプレイに集約。最新の運転支援機能も盛りだくさんと、トピックも満載のモデルチェンジになった。


いちばん気になる乗り味は、懐の深いバラードにも似たSクラス節が全開なこと。メルセデスのセダン最上質のフィーリングはさらに高められている。車体の骨格となるフレームを見直し、発泡ウレタンを最適部分に充填することで静粛性は増し、まるで書斎のような静けさを実現している。走り出すとゆらりとその巨体を意識させられつつ、揺れをすっと抑えるエアサスペンションのマナーは完璧。SクラスのSUV版であるGLSと同じ方向性の足回りだから、まったく硬さは感じずに揺れを優しくいなしてくれるんだな。


Sクラスの静かさって音響で例えると、強力なノイズリダクションをかけているのに似ているのね。だから嵐の夜にこそ、Sクラスを走らせたくなる(笑)。外部の喧騒を遮断し、隠れ家的な密室空間を演出するところにハイエンドのセダンらしさがある。乗り味もまたしかりで、電子デバイスの制御により乗り味の雑味(リアル)を、ことごとく回収している感じ。

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