創業100年を祝う、旅に使える多機能ウォッチ
岩崎 寛(STASH)・写真photographs by Hiroshi Iwasaki
並木浩一・文
text by Koichi Namiki
シチズン時計は今年、100周年の節目を迎えた。その記念としてレディスを含めた4コレクションで、6モデルの「シチズン100 周年記念限定モデル」が登場する。メンズの注目の一本が「シチズン アテッサエコ・ドライブGPS 衛星電波時計F900」の特別バージョンだ。ベースとなったモデル自体が光発電エコ・ドライブでGPS衛星電波という、国際派ビジネスマンご用達スペックの多機能ウォッチである。
本来ビジネスウォッチには、抑えた存在感をよしとする美学がある。闇夜のカラスのように目立たないのがむしろ粋、ということだ。実は「アテッサ」にはコレクション誕生30周年に誕生したブラックチタニウムのシリーズが、既に定番化している。マテリアルの純チタニウムには、チタン使いに定評があるシチズンの真骨頂、デュラテクトDLC=ダイヤモンド・ライク・カーボンのデュラテクト(表面硬化技術)を施した。巧みな研磨の成果であるタキシードクロスのような艶の一方で、ステンレスの5倍以上の硬さを与えた。
その成功体験に今回の特別バージョンでは、華やかなゴールドカラーのベゼルを合わせた。ブラックチタンモデルの特徴であるアラビア数字交じりのインデックスも、初めてゴールドに揃える。たとえて言うならばダークな装いに、意表を突いたジレやブートニエールを合わせる着こなしの高等技術である。実はワニ革の替えバンドが付属しているので、コンビのドレスウォッチのように着回すこともできる。
27都市を含む40時差のワールドタイム、瞬時にホーム/ローカルを切り替えられるデュアルタイム、アラーム、クロノグラフ、永久カレンダー。世界を駆けるための機能を網羅した上で、GPS衛星電波は時刻なら最短3秒、位置情報も最短30秒の速さで情報取得する。一世紀の記念モデルの華やぐスタイルにも、100年の時をかけて研ぎ澄ました技術が芯を通しているのだ。
シチズン アテッサ エコ・ドライブ GPS 衛星電波時計 F900