日本ならではの感性で食をひとつの芸術として表現する。緒方慎一郎による著...

日本ならではの感性で食をひとつの芸術として表現する。緒方慎一郎による著書『喰譜』が美しい!

白子筍/Shirako-takenoko

SIMPLICITY代表 緒方慎一郎氏による食の芸術(フードアート)を著した『喰譜』。その卓抜なアイディアと美意識で、日本の食・菓・器をその空間ごと更新しつづける緒方氏が、東京大学総合研究博物館とのコラボレーションを通して到達したひとつの小宇宙を手に取ることができる一冊が完成しました。

同著に寄稿している、東京大学総合研究博物館館長/インターメディアテク館長・西野嘉章氏はこう語ります。「緒方慎一郎が試みる創作料理は、食べ物に期待されるものへ応えているばかりか、料理と器の組み合わせの、その外貌のデザインの妙味において、視覚的な美感に訴えかけるものでもある。本書で紹介される料理や食材の数々、それらの佇まいをもって「和食の美学」と呼ぶのは容易である。しかし、それらを実現するまでに、創作者として、研究者として、どれほどの食材狩猟と試行錯誤があったか、思いを致して欲しいと思う」

「虎河豚、猪、薇、鴨、甘鯛、白子筍、城下鰈、稚鮎、毛蟹、万願寺唐辛子、賀茂茄子、玉蜀黍、蓮根、鱧、松茸、真鯖、干し柿、伊勢海老、茸、餡、香箱蟹、貝、天草大王、海苔、鼈。伝統的な食材を再解釈し、料理と器がひとつになることで、紡がれていく生命の儚い一瞬を喰らう。」

「食べる」ではなく、あえて「喰らう」と表現するのは、尊い自然に感謝し、その愛情をいただくという想いから。畑から人の口まで一秒でも早く、過剰に手を加えることなく、素材そのものの素晴らしさを最大限に味わうことに重きを置いているのです。

本著は、160ページにわたり、日本ならではの惹きこまれるような美しい写真と文章で構成されています。なにげなく口にしている食材をあらためて知ることで、日々の食事をより愛おしく感じ、日本の豊かな食文化を誇らしく思えます。日英併記なので、和食への注目が高まる今日、海外の方への贈り物にも喜ばれるのではないでしょうか。(外川ゆい)

猪/Inoshishi

薇/Zenmai

香箱蟹/Koubakokani(All Photo by Yuichi Ikeda)

美しい装丁にも注目です。

『喰譜』

著者:緒方慎一郎
編:東京大学総合研究博物館
企画監修・アートディレクション:緒方慎一郎
テキスト:西野嘉章/緒方慎一郎/松原 始
編集・デザイン:SIMPLICITY/インターメディアテク
写真:池田裕一
発行:財団法人 東京大学出版会
定価:¥8,532
※「八雲茶寮」「HIGASHI-YAMA Tokyo」のほか、全国書店でも販売

www.simplicity.co.jp
yakumosaryo.jp

※刊行を記念し、5月22日まで、KYOTOGRAPHIEサテライトイベント「KG+2016」にて『喰譜』を展示します。緒方氏が空間デザインを手掛けた「イソップ京都店」をひとつの器に見立て、味覚の悦楽に応え、視覚的な美感に訴えかける食の世界を展開。

会期:2016年4月22日~5月22日 11時~19時
会場:イソップ京都店(京都府京都市中京区柳馬場通三条上る油屋町97番)

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