銀座で味わう、季節感あふれるコース仕立ての肉料理。
写真:尾鷲陽介 文:岡野孝次

銀座で味わう、季節感あふれるコース仕立ての肉料理。

肉 うち山
銀座
肉にこだわる
カウンター割烹
会食・デートにオススメ

料理はすべて10,780円(税込)のコースから。「山形牛イチボのステーキ」は、やわらかくて脂肪分の少ない部位をロゼ色に焼き上げる。噛み締めるたび広がる、赤身のおいしさ。赤身と脂身の味わいのバランスを考え、サシが適度なA4の山形牛を仕入れている。

銀座の肉割烹の新店「肉 うち山」。先付として古伊万里にのせて供されるのは、もなか。あん肝に鶏そぼろ、のし梅、いぶりがっこを忍ばせた餡の弾けるような食感に、口開けの一杯も進む。続く皿は、生センマイと魚介・青菜の和え物。松葉ガニで冬の名残を惜しみ、菜の花に春爛漫を感じる。「季節を盛り込んでこそ肉割烹」という、ミシュラン星付きの日本料理店「銀座うち山」出身、オーナー・工藤淳也さんの矜恃が見てとれる献立だ。

もちろん、主役もお見事。山形牛のサーロインは軽く炙ってウニと一緒に手巻き寿司に、ランプはビフカツに、イチボはステーキで提供する。鍋物にイノシシを使うなど、ジビエで季節感も演出。刺身には馬肉も登場する。また銀座ながら、夜は8,580円と10,780円(ともに税込)のコースのみ。「若い人が和食に触れる機会を提供したいから」と工藤さんは言うが、食べこんだ大人たちにもうれしい価格設定だ。

「山形牛ランプのカツレツ」には、フキノトウの天ぷらを添えて。ランプはイチボと隣り合う部位だが、筋があるぶん、やわらかいながらも噛みごたえがある。こちらも、ほどよいロゼ色の揚げ色に。米こうじの醤油漬けを付けてどうぞ。

ミシュラン星付きの、銀座うち山の唯一の暖簾分け店が「徳 うち山」。その肉割烹部門として20年2月に開業した。カウンターやソファだけでなく、木棚や椅子も特注品。またオーナーの工藤さんは器好きゆえ、美濃・信楽・志野の作家の新作や骨董品を取り揃えている。

銀座で味わう、季節感あふれるコース仕立ての肉料理。