世界最優秀パティシエなど数々のタイトルを獲得し、インスタグラムで150万人のフォロワーをもつセドリック・グロレ。ホテル・ル・ムーリスでは、レストランでの活躍に加え、2018年にテイクアウトの店舗もオープン。果物をかたどったスイーツに行列ができる。
その彼が、昨年末に自分の名前でベーカリーを開いた。朝はペストリー、昼はサンドイッチ。午後からはスイーツ、夕刻にはバゲットなどのパンが焼き上がる。街角のパン屋さんにあるような定番のパン・菓子が、ガストロノミー界のトップの手で洗練された上品な味わいに。2階のティールームでは、朝食やランチメニューもある。パンも菓子も売り切れ続出、焼き上がり時間を目指して訪れたい。

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ハドソン川沿いにある、1930年創立のリバーサイド教会の尖塔が、高さ約119mと北米の教会の中で最も高いということは、ニューヨークでもあまり知られていない。教会は90周年を機に、9.11以降クローズされていた尖塔の内部を公開するツアーを再開した。
塔の途中まではエレベーターで上がれるが、そのあとは145段の階段を自力で登っていく。世界最大となる20tから20㎏までの合計74本の青銅製の鐘から成る圧巻のカリヨンを間近に見ながら頂上へたどり着けば、ニューヨークの中心を一望できる。ロックフェラーセンターやエンパイアステートビルの展望台とはひと味違った360度のパノラマビューは新鮮。観光の穴場としてお薦めだ。

ベルリンにまたひとつユニークな博物館が誕生した。約2200点に上る「文字看板」のコレクションを有する「文字博物館」だ。これまで倉庫として使っていたベルビュー駅の高架下に広がる約1000㎡の空間を展示スペースとして改装、一般公開をスタートした。館長のバーバラ・デシャンは、子どもの頃から文字がプリントされたTシャツばかり着るほどの、大のタイポグラフィ好き。個人商店の減少とともに、姿を消しつつある文字看板を残念に思い、譲り受けていったのがコレクションの始まりだった。街の風景の一部だった文字看板は、書体として美しいだけでなく、設置されていた街の歴史も伝える。タイポ好きにも一般の旅行者にもお薦めだ。

小さな都市国家であるが、熱帯の豊かな緑を活かし、国土の隅々まで絶え間ない開発が進むシンガポール。このほど本島から橋でつながるセントサ島の再開発プランが発表された。セントサ島は、市街地から簡単にアクセスでき、ビーチリゾートやユニバーサル・スタジオなどのテーマパークが楽しめるとあって観光客に人気だが、地元民からは敬遠されがちなのも事実。そこで、再開発に合わせてリピーターを増やすためのプロジェクトが始動した。その第一弾として、夜のシロソビーチ沿いを光とプロジェクションが幻想的な世界へと誘う「マジカルショア」が1月末にローンチされた。都市部だけではないシンガポールの夜の楽しみ方が増えそうだ。

1647年に仕立屋フランツ・ボックの店として建てられた、文化財指定の建物が新たなホテルに生まれ変わった。スルッセン駅から徒歩1分。クリエイターが多いセーデルマルム地区に位置し、旧市街ガムラスタンは目と鼻の先だ。改装を終えた部屋からひと足先に開業したが、文化財の改装には厳しい規制がある。たとえば壁や柱の塗料は当時使われていた菜種油ベースのものでなければならないなど。室内装飾やタイル張りの暖炉もそのまま残してある。無国籍料理のレストランもオープンしたが、そこでは18世紀の宮廷詩人カール・ミカエル・ベルマンがポートワインを楽しんだ逸話も残る。当時の暮らしに思いを馳せながら、ホテルでの休日を楽しみたい。