アートと建築が共鳴し、新たな体験へ誘う「白井屋ホテル」

アートと建築が共鳴し、新たな体験へ誘う「白井屋ホテル」

写真:藤井浩司(TOREAL) 文:土田貴宏

1970年代竣工の建物をリノベーションした白井屋ホテルのヘリテージタワー、国道50号線からの外観。コンセプチュアルアートの重鎮、ローレンス・ウィナーが前橋の地域性をモチーフにしたコミッションワークがファサードを彩る。

「起業家として、誰もやっていないことにチャレンジするのが好きなんです。このホテルに建築家の藤本壮介さんを起用したのも、それが第一の理由でした」。前橋市で昨年12月に開業した「白井屋ホテル」のオーナーで、アイウエアブランド「ジンズ」の創業者である田中仁は、そう語る。

彼も、世界各地でプロジェクトが進む藤本も、ホテルを手がけるのは初めて。彼らは約6年も定期的にディスカッションを重ね常識にとらわれず案を出し合った。世界でも類を見ないほど、建築とアートがダイナミックに響き合う白井屋ホテルはこうして完成した。

馬場川から見た白井屋ホテル。手前の緑の丘のような建物がグリーンタワー。その右手奥が白いヘリテージタワー。市内の幹線道路である国道50号線と、周囲にヒューマンスケールの街並みが広がる馬場川という小川の間に位置する。

レセプションの壁には杉本博司『ガリラヤ湖、ゴラン』。群馬に海がないことから「海景」シリーズ唯一の湖の写真を選択。

エントランス横はリアム・ギリックの作品『インヴァーテッド・ディスカッション』。宿で旅人たちが物語を披露し合う『カンタベリー物語』がモチーフ。

メインダイニング「the RESTAURANT」はフロリレージュの川手寛康が監修。地元出身の片山ひろシェフが上州の郷土料理や食材を取り入れて腕をふるう。

レアンドロ・エルリッヒのアートと建築が融合したヘリテージタワーの吹き抜け。内廊下や一部の客室から、この景色を楽しめる。

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