「人々のための建築」を目指したオスカー・ニーマイヤーの大回顧展、東京都現代美術館で開催!
2012年、104歳で亡くなったブラジルの国民的建築家、オスカー・ニーマイヤー。ブラジルで“この国のかたち”を造ったのは彼だと言っても過言ではありません。2015 年7月に、その彼の回顧展が東京都現代美術館で開かれます。開催に先立って開かれた記者会見には会場構成を担当するSANAAの妹島和世さん、キュレーターの長谷川祐子さんが登場しました。
妹島和世さんは自身もニーマイヤーの建築が好きで、生前に彼の事務所を訪れたこともあります。
「事務所では若い人々に伝えたいことや、新しい雑誌をつくりたい、といったことなどを熱心に話していました。彼が関わった都市では議事堂などの大きな建物はもちろんのこと、バスの庇といった小さなものまで彼がデザインしていて、彼の建築が町とともにあることに感銘を受けました」
長谷川祐子さんはアートのキュレーターですが、ニーマイヤーの建築は大半を見ているとのこと。
「ニーマイヤーが師事したル・コルビュジエは『君の建築はバロック的生命力があってすばらしい』と言ったそう。ブラジル独特の力強いモダニズムだと思います。人々のための建築を目指した彼の思想はさまざまな問題を抱える現在、重要な指標になるのではないでしょうか」
会場には大小の模型が並び、壁面にはホンマタカシや二川幸夫らの写真や、ブラジル国外では初めて出品される長さ16メートルのドローイングなどが展示されます。そのほか、ニーマイヤー建築のプロセスに迫るドキュメントフィルムや、飛来したUFOが《ニテロイ現代美術館》になり、その中からニーマイヤーが登場する、という抱腹絶倒のイントロのあるドキュメンタリー映画など、内容は盛りだくさん。身体全体でニーマイヤー建築を感じられる展覧会になりそうです。(青野尚子)
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オスカー・ニーマイヤー
1907年12月15日、リオデジャネイロで生まれる。リオデジャネイロ国立芸術大学建築部を卒業後、ルシオ・コスタの設計事務所に勤務、この時代にル・コルビジェとも出会う。45年、ブラジル共産党に入党。その後クビチェック大統領からブラジルの新首都の設計を依頼され新首都計画コンペを編成、審査委員会委員しても参加。57~58年に新首都ブラジリアの議会議事堂などを設計。67年にパリへ移住。フランスでの建築活動の許可を得る。88年にプリツカー賞を受賞。2012年、リオデジャネイロで104歳にて死去。
オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男
2015年7月18日(土)~10月12日(月・祝)
会場:東京都現代美術館
開館時間:10時~18時(7~9月の金曜日は21時まで。入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(7/20、9/21、10/12は開館)、7/21、9/24
料金:一般¥1,100、大学生・専門学校生・65歳以上¥800、中高生¥600、小学生以下無料
問い合わせ先:TEL 03-5245-4111(美術館代表) TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp