2018年グッドデザイン大賞決定! お寺の“ある”を社会の“ない”とつ...

2018年グッドデザイン大賞決定! お寺の“ある”を社会の“ない”とつないだ「おてらおやつクラブ」がデザインしたこととは?

文:小川 彩 協力:公益財団法人日本デザイン振興会

日本の子どもたちの7人にひとりが苦しんでいるといわれる貧困問題に取り組んできた、特定非営利活動法人おてらおやつクラブの活動が大賞に選ばれました。

2018年度のグッドデザイン大賞に、奈良県のお寺を中心とした取り組み「おてらおやつクラブ」が選ばれました。形のあるプロダクトや建築ではなく「取り組み」が大賞を受賞するのは、近年では久しぶりのことです。全国で問題になっている子どもの貧困問題をなんとかしたい、という思いからスタートしたこの活動。趣旨に賛同する各地のお寺と子どもをサポートする支援団体を結び、経済的に困窮している子どもやひとり親家庭に、お寺にお供えされた菓子、果物、食品などを「仏さまのお下がり」として届ける仕組みは、社会的に弱いものや、見過ごされがちなものをやさしくすくい取るデザインが高く評価されました。

おてらおやつクラブ代表の松島靖朗さんによる「お寺の“ある”を社会の“ない”とつなげる」というシンプルなメッセージが、多くの来場者の心に響いた結果といえるでしょう。地域のお寺本来の役割を生かし、関わる人に無理なく新たな循環をデザインして社会課題を解決しようとする仕組みは、まさに今年のグッドデザイン賞が目指す「美しさ」を象徴するデザインでした。

大賞は、審査委員による長時間の白熱したディスカッションを経て金賞に選ばれた19件から、さらに大賞候補として6件のファイナリストを選出。10月31日に開催されたグッドデザイン賞授賞式会場で、審査委員、グッドデザイン受賞者、受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 」来場者の投票により選ばれました。

おてらおやつクラブ代表、松島靖朗さんによる「お寺の”ある”を社会の“ない”とつなげる」というシンプルなメッセージは、来場者の心に響きました。

大賞トロフィーを手に発表会会場でスピーチをする松島靖朗さん(右)と柴田文江審査委員長(中)、齋藤精一副委員長。

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