「ベスト・リノベーション建築賞」受賞。クリエイターと企業をつなぐ巨大コワーキングスペース「キャピタルC」に注目
欧州内でも有数のスタートアップ・シティとして知られるアムステルダムには、大小多彩なコワーキングスペースがひしめく。昨年堂々オープンした「キャピタルC」は、メディアやクリエイティブ産業に特化した大型で、オランダ屈指のメディア会社の他、欧州本土の拠点としてBBCもここにオフィスを構えた。
建物は1911年築の元ダイアモンド取引所で、オランダ的な簡素なアールヌーボ様式のモニュメント。「クリエイティビティとビジネスが出合う場所」をコンセプトに、館内至るところにコンテンポラリーアートを展示するほか、インテリアも極めてデザインコンシャスだ。一般公開しているギャラリースペースでは2カ月毎に新しい展示を行うなど、地域のカルチュラルスポットとしての役割も担っている。
床総面積は、ざっと8,5000㎡。最新の空調システムと高性能の吸音設備を施したコワーキングスペースや、大御所のダッチデザイナーたちがデザインを手がけたレンタル会議室、最大400人を収容できるイベント会場、そしてウェビナーに対応するテレビ撮影スタジオも併設している。
建物の特徴を活かしつつアート、カルチャー、ビジネスをうまく融合したその改築コンセプトは国際的にも高い評価を受け、昨年には、リアルエステート業界で権威のMIPMアワードで「ベスト・リノベーション建築賞」も受賞した。
運営面では、メンバーの定期親睦会の開催や会員新聞配布ほか、テナント企業に対して積極的に若手メンバーの売り込みも行うなど、インキュベーターとしてのサービスにも注力。活動を始めたばかりのクリエーターやスタートアップらにも好評だ。
近々館内一階に、誰でも利用できる地産地消レストランがオープンする予定。キャピタルCに集結した刺激的なクリエイティビティは、エリア一帯に伝播していきそうだ。