川内倫子から蜷川実花や鷹野隆大まで、18名の写真家の視点を映し出す『平成をスクロールする』展を見逃すな。
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川内倫子 『うたたね』より 2001年 東京都写真美術館蔵
1960年代に始まった、写真作品をアートとみなす動きは、写真家がなにを見ているのかという視線に価値を認めることでもありました。アメリカで始まったこの流れに、日本も呼応し始めたのが“平成”という時代。国内でも、急速に写真がアートとして美術館で展示され始めます。この“平成”時代の写真にフォーカスした展覧会『シンクロニシティ 平成をスクロールする 秋期』が、東京都写真美術館で2017年11月26日(日)まで開催されています。
本展のテーマとなっているシンクロニシティとは、まったく別の場所にいる別の人による複数の出来事が、不思議と共通するという現象のこと。それはすなわち「わかる」という感覚を肯定し、共有することです。本展の出展作家である米田知子、野口里佳、川内倫子、志賀理江子、新井卓、大森克己、蜷川実花、鷹野隆大など総勢18名の写真家の視線は、なにに向かっていたのでしょうか。
彼らが写した作品には、マイノリティの人々や震災や原発などの複雑な社会問題が写し出されています。それらは当事者でない人にとっては頭の片隅にありながらも、関わり方の糸口がなかなか見えないテーマです。多様性が謳われる昨今、私たちは簡単に他者のことを「わかる」と共感することにためらいを覚えがちです。しかし、本展の展示作品は、写真家がなにを見ているかだけではなく、どのように見ているかに自然と共感を覚え、「わかる」ことができるはずです。それは、写真家が感じた他者へのためらいや葛藤、重ねてきたコミュニケーションがそこに写っているからなのかもしれません。開催も残りわずかとなりましたが、一枚一枚の写真から、彼らの視点をぜひ感じ取ってみてください。
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『シンクロニシティー平成をスクロールする 秋期』展示風景。この展覧会は、毎年ひとつのテーマを設け、東京都写真美術館の所蔵作品を紹介する展覧会シリーズ『TOPコレクション』の一環である『平成をスクロールする』展のひとつ。春期の『いま、ここにいる』、夏期の『コミュニケーションと孤独』を経て、秋期のこの『シンクロニシティ』で幕を閉じます。
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上:原 美樹子『Untitled』「発語の周縁」より 2004年 上右:大森克己『サルサ・ガムテープ』より 1997年 ともに東京都写真美術館蔵
『シンクロニシティ 平成をスクロールする 秋期』
開催期間:2017年9月23(土)〜2017年11月26日(日)
開催場所:東京都写真美術館 3階展示室
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL:03-3280-0099
休館日:月 ※ただし月曜が祝日の場合は開館し、翌火曜休館
入館料:一般 ¥500(税込)
http://topmuseum.jp