「画と機 山本耀司・朝倉優佳」の“アート空間”が示す、絵画とファッションの新しい関係性。
40年にわたり、つねにアヴァンギャルドに、かつ自らの美意識を追求して、世界に刺激を与え続けてきたトップデザイナー、山本耀司。いまなお新しい創造を続ける彼が、近年のコレクションで絵画とのコラボレーションピースを発表、2016年春夏からは若手アーティストの朝倉優佳と数シーズンを協働しています。
そうした山本の現在に「美術」のアプローチから迫り、改めてその本質に触れるユニークな展覧会が、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中です。
その名も「画と機」。
山本の旧知で編集工学者の松岡正剛が、山本の希望を受けて命名したそうです。「画」とはもちろん「絵画」であり、ひいては、造形化されて目に映るものすべてのことを指すのだと思います。そして「機」には、「機織(服)」とともに、「機会」「はずみ」といった、創造の過程におけるフックとなる「何か」を含んでいます。
言葉に鋭敏な松岡らしいコンセプトは両者の「関係性」を表し、絵画とファッション、二次元と三次元、男と女といった、相対しつつも互いに惹かれあうところに発生する緊張感や触発、そして親和や融合をみごとにまとめた、まさに、展覧会を象徴するタイトルです。
会場は、山本が制作した絵画や彫刻、朝倉がペインティングした山本の服、朝倉本人の作品が、ある意味雑然と、しかしとてもスタイリッシュに、またユニークに展示されていて、ふたりのアーティストが真剣勝負の闘いとともに生み出していく創造の楽しみに満ちています。
「画と機」は合わせて「ガキ」も表すのだとか。確かにやんちゃなふたりの「ガキ」の精神が、張り合い、ケンカして、助け合い、許し合いながら、互いに高め合っていくプレイグラウンドにも思えてきて・・・。
既存の価値を是とせず、常に新しいものへとチャレンジしていく山本の感覚そのままの空間は、自由に散策できて、わたしたちもそこに参加している気分になります。
数々の作品に囲まれて、ふたりの創造の原点に触れる時間になるでしょう。
ファッション展や絵画展としてくくりきれない、両者の枠を超えた展覧会でもあります。
ボーダーを外した時にスパークした奇抜でエキサイティングな刺激は、新しい体験になるはずです。(坂本 裕子)
「画と機 山本耀司・朝倉優佳
Painting and Weaving Opportunity : Yohji Yamamoto・Yuuka Asakura」
2016年12月10日(土)~2017年3月12日(日)
開催場所:東京オペラシティ アートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
開館時間:11時~19時(金曜・土曜は20時まで) 入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合翌火曜日)
年末年始(2016年12月26日(月)~2017年1月3日(火))、2月12日(日※全館休館日)
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入場料:¥1,200
(同時開催「収蔵品展057 人間 この未知なるもの」「project N 66 村上早」の入場料を含む)
http://www.operacity.jp/ag/