”呪いのアメジスト”から始祖鳥まで、「大英自然史博物館展」の至宝たちに自然の驚異と人類の情熱を観る/
19世紀から20世紀初頭、英国では多くの探検隊が探究心、知識欲や名誉欲、または一獲千金の夢から世界中を駆け回り、あらゆる博物標本を収集しました。彼らにより集められた地球上のさまざまな事物は、当時の科学の発展に大きく寄与し、現在においても重要な資料となっています。これらの多くを保管するイギリスの大英自然史博物館の収蔵品およそ8000万点から、選りすぐりの“至宝”約370点が、上野・国立科学博物館に来日しています。
見どころはなんといってもダーウィンの「進化論」でも中心的な存在となった最古の鳥類化石、始祖鳥です。代表的著作『種の起源』の直筆原稿と合わせて観られるのは感慨もひとしお。ニュージーランドの絶滅鳥類モアの完全標本は、その大きさとともに迫力あり。このほか、テムズ川に投げ捨てても持ち主の元に戻ってきたといういわくつきの呪いのアメジストや、博物館コレクションの基礎を築いたスローン卿所持の31.5カラットのサファイア、世界最大級598カラットの美しいモルガナイト宝石といったお宝から、掌に納まるほどの小さなハチドリたちを鮮やかに枝に配した標本ケース、タコの姿を完璧に再現したガラスの模型など芸術の域に達した技術まで、自然の驚異とそれを残すことに費やした人々の情熱に圧倒される空間です。
冒険家別に収集品が紹介されるコーナーでは、日本へも寄港したチャレンジャー号、本人も遭難して帰らぬ人となりながらも南極の謎を解明したスコット隊、ダーウィンのビーグル号の航海など、彼らの夢に賭けた想いが貴重な記録や蒐集品とともに並びます。日本で発見された世界的な輝安鉱の標本も、日本の絶滅動物ニホンアシカとともに、130年ぶりの帰国です。最終章では、人類史を揺るがしたねつ造事件、ピルトダウン人の頭骨片と下顎骨の贋作が、先走る情熱が生む危険への警鐘とともに、人類、そして地球の宝である博物標本のもつ重要性と、未来に向けて私たちが伝え残すべきことを伝え、この自然史の驚異(ワンダー)世界は終わります。
そして、今回のもうひとつの見どころが、骨格標本の動物たちの復元CG動画です。始祖鳥をはじめ、オオナマケモノ、サーベルタイガーたちが、深夜の博物館を活き活きと動き回る映像は、さながら『ナイト・ミュージアム』。最新の研究成果にイギリス人らしいウィットやユーモアも込められていて、現代ならではの趣向です。ご家族で、友人と、壮大で楽しい自然の至宝に触れてみませんか?
「大英自然史博物館展」
開催期間:~6月11日(日)
開催場所:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20
開館時間:9時~17時
(金・土曜日は20時まで、4/28~30、5/3~7は21時まで、5/1,2は18時まで)
入館は各閉館時間の30分前まで
整理券対応について:3/22より整理券対応を開始しています
※混雑時は受取の整理券に記載の時間での入場となります
休館日:5/8、15、22、29
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入場料:¥1,600ほか
http://treasures2017.jp