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職人技を駆使した、最高品質の服づくり。
ファッションブランド「カンタータ」のデビューとなった 2016年春夏コレクションは、テーラードジャケット2型、共布のパンツ2型、シャツ4型、デニム2型、ニット2型、カバーオールジャケット1型、アクセサリー2型ですべてだ。型数の少なさは、26歳の若いデザイナーが独立し、何もかもひとりで手がけてスタートさせたブランドらしいものといえる。ただし、アイテム一点一点の密度は濃い。時代の空気を捉えることよりも、職人のごとく最高品質の服づくりを行うことを決めた、松島紳の思想が息づいている。
流行に左右されず、長年、着続けられるオーセンティックな服だ。彼が自身のファッションのルーツを語った。「ベースにあるのは古着です。何世代にもわたって受け継がれて、経年変化してきたデニムの格好よさに惹かれて。時代によるリベット金具の違いなども研究してきました。頭が理系っぽいんでしょうね。高校を卒業してファッションの専門学校に通い、おもにパターンや縫製を学んだのも、服の構造を深く理解したかったからです」
卒業してデニムの産地で名高い岡山のアパレル製造会社に勤め、企画・生産・営業をひと通り行った。この時の経験が、ブランドのコンセプトに結びつくことになった。「服の生地や製造を担う工場を中心に、みなが同じ方向を向いてモノづくりすることの面白みを実感しました。こちらが望む服づくりのために、特別なミシンを導入してくれる工場もあるんです。彼らの気持ちに応えるためにも、日本の現場のよさを伝えていくことが大切だと思っています」。〝世界に通用する最高級〞にするために、手先が器用な日本人ならではの職人技を駆使して、一着の中に西洋由来の歴史的な技工を詰め込んでいる。
北海道出身の松島が住んでいた地域には服の店が少なく、こうした理由もあってか、彼はモードへの興味も、アメリカやイギリスやイタリアといったファッション先進国への憧れもさほど抱かなかった。結果的にカンタータは、現代人が着るのにふさわしいジャンルレスなワードローブになっている。「こだわり抜いた高い洋服です。捨てずに孫にも受け継がれるような存在であってほしい。地域に密着することも望みます。トラックに洋服を積み、地方を巡る販売方法も考えています。都市部にしか上質な服がない現状を打破したいんです」
細番手の糸を手動編み機を使って編んだ、2016-17年秋冬商品のクルーネックとVネックのニット。各¥49,680
テーパードシルエットでセンタークリース付きの、セルビッジデニムパンツ¥36,720/すべてカンタータ(TEL 03-6407-1847)