土地で感じた空気をもとに、 「音」を感じる絵を描く。

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アイデアの扉

土地で感じた空気をもとに、
「音」を感じる絵を描く。

レイコ・カミヤマ Reiko Kamiyama
福島県郡山市出身。東京工芸大学デザイン学科卒業。「カラーサウンズ」をテーマに、店舗の壁画やイラストレーション、絵画制作などに取り組む。2016年より、アクリル絵具メーカー「リキテックス」とのパートナーシップが始まる。

http://www.reikoleo.tumblr.com/

ギターやピアノなどの楽器を軽やかに奏で、絵の中で躍動する人物たち。ペインター、レイコ・カミヤマの作品は、鮮やかな色彩と大胆にデフォルメした画面構成で観る者を惹きつける。創作活動のコンセプトには「カラーサウンズ」というテーマを掲げる。彼女が描く対象は、人物に限らない。訪れた土地の「音」や「空気」、その場の雰囲気からインスピレーションを得て、ペインティングに落とし込むのが彼女のスタイルだ。

「パリを旅した際、街に自然に流れている音にとても刺激を受けました。シャルル・ド・ゴール空港から移動する時、電車の音がガタゴトと響く中、誰かがアコーディオンを弾いている音が聴こえてきたんです。これらの混ざり合った音がパリの雰囲気そのものを表しているように感じ、そのイメージからいくつかの作品が生まれました。私が大切にしていることは、土地や場所を訪れて全身で感じた空気感を捉えることですね。それを絵にする時は、まず色を思い浮かべ、次に線や形に展開していきます」

飲食店などの壁画や、イラストレーション、ライブペインティングなど、さまざまなところで描いているが、家庭の壁にかけるような絵画作品の制作にも力を入れている。

「絵画から音楽を想像してもらえたら嬉しいです。たとえば都会のマンションの一室で、大きな音を出すことができない環境でも、絵画から音楽を感じてエネルギーを受け取ってもらえたら」

彼女が少女時代を過ごしたのは「音楽都市」を標榜する福島県の郡山市だ。子どもの頃は合唱や合奏に取り組むことが当たり前の日常だったという。こうして音に対する感性は自然に磨かれていった。

「東日本大震災をきっかけに故郷のことを考える機会も多くなり、自分のルーツに興味をもち始めたのかもしれません。いつか地元の郡山で、『音楽都市』のイメージを描いた壁画を制作してみたいんです。音楽が聴こえてくるような壁画がつくれたら、グラフィティとも路上ライブとも違う、新しい表現が生まれるような気がして」

7月27日から始まる個展では、彼女のテーマ「カラーサウンズ」をさらに展開した作品が発表される予定だ。自分にとって常に新しい表現を探し求めていると語るレイコ・カミヤマ。その想いが、音楽を描くペインターを新たな創作へと駆り立てている。

works

「想像音楽都市」というテーマの作品。雪の中のカーニバルをイメージして描かれた。ウェブアートマーケット「BAZART」で貸し出しに対応する。

個展『ColorSounds\色のナル都市』(原宿のカフェ・ド・ディ・アナ・ギャラリーで、7月27日~8月30日開催)で展示される予定の新作。

※Pen本誌より転載
土地で感じた空気をもとに、 「音」を感じる絵を描く。