スマホで開催!? 拡張現実で楽しむワシリー・カンディン...
PARIS パリ

スマホで開催!? 拡張現実で楽しむワシリー・カンディンスキー展は要チェック

文:髙田昌枝(パリ支局長)

スマートフォンをかざすとARによって画面に写真のような展覧会が立ち上がる。

文化施設の休館が続くパリ。昨年春のロックダウン中も、さまざまなデジタルコンテンツでの展覧会を提案し話題になったポンピドゥ・センターが、2月10日、また新しい試みを発表した。今回の「Sounds Like Kandinsky」は、Google Arts & Cultureと連携し現代アートの父であるワシリー・カンディンスキーのコレクションをウェブで公開するというもの。この機会にカンディンスキー作品と資料がデジタル化され、8つのポイントで解説する「Meet Kandinsky」やキュレーターのインタビューといった作家のモノグラフィコンテンツも充実。さらにはデジタル展覧会ならではの体験メニューが見逃せない。 

ひとつは、Google Arts & CultureのアプリからAR体験できる、ポケットサイズの展覧会「Hang a Kandinsky」。画面に現れる黄色いポケットギャラリーをタップすると、周囲の空間が展示室に早変わり。スマホやタブレットを手に周囲を歩けば、まるで展覧会の空間を歩いているような気分が味わえる。作品をタップすれば、解説を読んだりズームインも自在。抽象画への歩み、ロシア時代からバウハウスへ、そしてパリ時代とそれぞれ3点ずつの作品で巡るミニ展覧会だ。 

もう一つは、シナスタジア(共感覚)をもち、色とフォルムに音楽を感じたというカンディンスキーの感覚を体験させる「Play a Kandinsky」。代表作の一つである『黄―赤―青』をタップすると、色やフォルムに応じて彼が感じていたと思われる音楽が流れてくる。コンテンツの最後では、作品に触れながら音源を組み合わせ、カンディンスキーになった気分で絵画を体感できる試みだ。

リアルに存在する展覧会のバーチャル見学とは違い、ゼロから立ち上げられたデジタル展覧会。2023年末から3年間の改修工事による閉鎖の予定が発表されたばかりの同センターだけに、これからもオリジナリティのあるデジタルプロジェクトに期待したい。

●Sounds Like Kandinsky
https://artsandculture.google.com/project/kandinsky

「Play a Kandinsky」の最後のステップでは、絵の数カ所にあるポイントをタップすると音楽が流れ、複数の音を重ね合わせることもできる。


スマホで開催!? 拡張現実で楽しむワシリー・カンディン...