Pen Onlineをご覧の皆さん、こんにちは。
当コラム三本目にして、やっとのこと、実際のスタイリングについて書きたいと思います。
これまでの二回では、スタイリングが服のコーディネートだけでなく、さまざまな要素や条件を含むということについて書きました。今回はその中の、「洋服そのもの」に関わることを書きたいと思います。
服はコーディネートの面白さもさることながら、その着方がとても重要に感じます。
買い物やアイテムを選ぶ時点でのサイズ選びはもちろんですが、実際に着用する際のパンツの腰位置、ベルトの締め付け具合、シャツやTシャツのインの仕方、皺の状態など、同じコーディネートと服でも、それらの処理によって印象は変わります。
写真は、HEUGN(ユーゲン)の21FWルックでのスタイリングで、僕が携わらせていただいたもの。現代における本格的「メンズウエア」を提案するHEUGNのデザイナー・小山氏は、クラシックにハイウエストで穿いた時に、前から見るとスッキリとした、横からみるとワイドテーパードなシルエットがきれいに出るラインを考案。
このパンツのウエスト位置を決める際、デザイナー小山さんは通常のハイウエストよりさらに数センチ上に、ベルトをギュッと絞りました。その本気度に、隣にいた僕は何かとてもグッときてしまいました(笑)
本格的「メンズウエア」と言っても、その佇まいはあくまでもモダン。クラシックをベースにしたスタイルに、小山さんの知性と現代における解釈を経た本格派です。
僕自身は、割と頻繁にお直し屋さんに頼んで、洋服のサイズ調整をします。たとえばパンツのフィッティングで、ジャストサイズの46か少し大きめの48かで迷ったとき、腿周りのワタリが48が好みであれば48を選び、後から直しに出してウエストだけ詰めます。費用は少し掛かりますが、しっくりくるパンツは、着こなし的にも着心地的にも、とても重要に感じます。そうやって微調整を経たアイテムと付き合うことで、自分の服装がよりパーソナルなものとなり、味わいが増す感じがします。
このような、作業や選択の繰り返しの中から、個人の服装は生まれる。さまざまな状況のなかから、相応しい方法を選び、提案、実践するのがスタイリングの楽しさの一つです。