京都で出合う暮らしの道具に魅せられて。
第2回 職人の手仕事編
昨年12月の京都特集連動企画に登場した「京都で出合う暮らしの道具に魅せられて。」では、長い歴史を誇り、文化と芸術の中心地である京都で、ひとり旅でぜひ訪れてほしい、道具とインテリアの店を紹介しました。この「古い道具編」が大好評につき、今回は第2弾として「職人の手仕事編」をお届けします。京都といえば職人、独特なセンスや技術が生み出す逸品に出合いにいってはいかがでしょうか。
写真・蛭子 真 文・小長谷奈都子KIJIRUSHI
北区にある紫竹は、感度の高いお店が点在する注目エリア。木工職人の溝上吉郎さんが独立10周年となる昨年6月に開いたオンリーショップ「KIJIRUSHI」は、その代表的な一軒です。無垢のナラ材をメインに使ったオリジナル家具や雑貨は、シンプルで機能的なデザインと、使うたびに風合いを増す木の温もりが魅力。「素材の質感が好きなので、その持ち味を大切にしたい」と溝上さん。まずは、人気アイテムのクリップボードやコーヒーフィルターホルダー、なべ敷などでその使い勝手を試してみては? 服や靴、小物、雑貨など、心地よい暮らしに寄り添うセレクトアイテムも要チェックです。
良質な竹の産地・長岡京に工房を構える「高野竹工」。竹林を整備・管理するところから携わり、漆、指物、蒔絵などさまざまな技術をもつ職人が、竹や木を使った多彩なアイテムをつくり出しています。そのアンテナショップとして2014年に祇園に登場したのがこちらの「篁(たかむら) 」。竹と土壁の意匠が美しい和の空間に、竹に精通する熟練の職人技で美しく仕上げられた、茶道具から日用品までのアイテムが並びます。なかには千利休作の唯一現存する茶室として知られる待庵の古材を使った茶箱、金閣寺の古材を使った酒器なども。和紙職人や料理研究家とのコラボレーションといった、今後の展開も楽しみです。
鍛金工房 ウエストサイド33
国内外のプロの料理人が愛用する「鍛金工房 WEST SIDE 33」の調理器具。鍛金とは金属を金槌で打ち、形をつくる伝統的な加工技法のこと。三十三間堂の西側に位置するショップには、看板商品のアルミの雪平鍋から銅鍋、カトラリーなど、幅広いアイテムが並びます。「お客様の注文に『できません』と絶対言わんとこうと、金属ものでいろいろつくってきた」という鍛金職人・寺地茂さんはこの道70年の大ベテラン。いまでは3代目の伸行さんがその技を受け継いでいます。食の都・京都で磨きあげられた、抜群の使い勝手と無駄のない美しいフォルム。大切に手入れしながら使えば、愛着もひとしおです。
鍛金工房 ウエストサイド33
京都市東山区大和大路通七条下ル七軒町578
営|10時〜17時
休|火
☎|075-561-5294
京都市東山区大和大路通七条下ル七軒町578
営|10時〜17時
休|火
☎|075-561-5294
桶屋近藤
かつて京都だけで200軒近くあった桶屋も、現在は数軒しか残っていません。人間国宝の木工芸家・中川清司氏に師事した近藤太一さんの工房はそのひとつ。杉や高野槇など、おもに針葉樹を使ってていねいに仕上げる桶やおひつ、酒器には凛とした清々しさが漂っています。「きれいな器をつくることは長く使えることにつながっています。大事にしているのは正直につくること」と近藤さん。古い桶やおひつの修理にも可能な限り対応しているそうです。すべての工程をひとりで行っているため、訪問の際は事前に連絡を。本山佛光寺の「D&DEPARTMENT KYOTO by 京都造形芸術大学」や「京都岡崎 蔦屋書店」でも取り扱いがあります。