技術と美意識、着け心地で、
薄さの最高と最適を競う。
極薄の自動巻きトゥールビヨンムーブメントを搭載。ブルガリ「オクトフィニッシモ トゥールビヨン オートマティック」
薄さに対する挑戦とその成果をバーゼルやSIHHで発表することが、「逸品の語り」として定着している。機械式でもそうでなくても、薄さが価値であるという意識が共有されてきたと言えるだろう。スイス時計ばかりの中でシチズンの「エコ・ドライブ ワン」の新作が、バーゼルの風物詩のようになっていることも、特筆に価する。
腕時計の歴史上、薄さに対する最も激しい競争があったのは1960年代のことだ。工作精度もいまほどは高くない時代に、薄い時計をつくることは優れた技術の証明であった。しかしながらそのせめぎ合いはクオーツの登場でいったん収束する。それから半世紀を経過して薄さ競争が再開されたわけだが、その意味合いは若干異なる。「薄くて美しい」ブルガリの試みや、「薄くて着け心地がいい」パテック フィリップのような方向を採ることが多い。すなわち薄さが目的なのではなく、それなしでは実現できない価値のための手段なのである。
世界で最も薄い光発電ウォッチ。ケース厚はわずか2.98㎜と驚きの薄さ。シチズン「エコ・ドライブ ワン」
ケース厚8.42㎜のグランド・コンプリケーション。パテック フィリップ「ノーチラス・永久カレンダー 5740/1WG」