「美しいカタチ」は、未来に継承される。【マツダ・ルーチェ・ロータリークーペ】
マツダのデザインリーダー前田育男は、ヒストリックカーにも詳しい。新デザインを模索する前田にとって、特別な1台が社内のアーカイブにある。
ベルトーネから続く、日本のカーデザイン
「マツダ・デザインのルーツとは?」
その問いに対し、2010年に「魂動」という独自のデザイン・フィロソフィーを提唱し、17年の東京モーターショーでその進化を表す「VISION COUPE」を発表したマツダ常務執行役員デザイン・ブランドスタイル担当の前田育男は、ある1台に行き着くと語る。
それが69年発表の「ルーチェ・ロータリークーペ」だ。「古いクルマよりカッコいいものをつくりたい」と公言する彼がこのクルマに感じるのは“エレガント”だという。
「いま我々が目指している方向性の原点になるのが、このクルマです。たとえば人間も身なりだけでなく、知性や、品性といった中身がないと“エレガント”とは言われない。我々がつくりたいのは世界からエレガントと言われるクルマです」
ルーチェ・ロータリークーペは、ベルトーネが手がけた初代ルーチェをただ2ドア化したのではなく、当時のマツダ・デザイン部の手で、1からデザインし直されたものだ。フロントオーバーハングを伸ばしボディに動きをつけたこと。タイヤの存在を強調していないのにその位置を理解したデザインが施されていること。オリジナルデザインのよさをスポイルしていないことなどが、エレガントを際立たせている。
「このクルマはマツダ・ベルトーネ学校の卒業制作。これで合格点が取れたからマツダのデザインはひとり歩きを始められたのです」
こちらの記事は、Vマガジン Vol.02「世界に誇る名ヴィンテージ こんな日本車を知っているか?」特集からの抜粋です。気になった方、ぜひチェックしてみてください。アマゾンで購入はこちらから。