32
有機ELテレビ、どれがお薦めか教えて!
映像コンシェルジュ:山口史朗さん
外資系CDショップでのMDや大手家電量販店で勤務経験をもつ、映像分野のスペシャリスト。豊富な知識や経験に基づいて、技術革新が日進月歩で進むテレビやレコーダーの理解を深め、的確な商品を選ぶための好アシストをしてくれる。「親身な姿勢の接客」が信条。
「液晶テレビがバックライトから光を出し、液晶でその光の明るさを調整し、カラーフィルターを通すことで光に色をつけて映像を表示するのに対し、有機ELテレビは『自発光方式』と言って、ひとつひとつ画像素子そのものが自ら発光することで映像が表現されます。そのため、液晶テレビに比べて色と色の境目がくっきりしていて、黒色の部分も他の光の影響を受けないので完全な黒が表現できます。画質の差は、同じ4K解像度でも両者を並べて比べてみると歴然。さらに構造がシンプルなので非常に薄く軽くつくることができます」
映像処理エンジンに、各社の個性あり。
「2017年は、3~6月かけてに東芝、パナソニック、ソニーの日本のメーカー3社から次々に有機ELテレビが発売され、『有機ELテレビ元年』と呼ばれていました。現在、有機ELテレビのパネルを製造しているのは韓国のLGのみなので、じつは日本メーカーの製品はいずれも同じパネルを採用しています。パネルは同じでも、映像を処理するエンジンには各社工夫を凝らした独自のものを採用しているから、色のつくり方ひとつとっても、それぞれに個性が表れています」
「色づくりについては、個人的な印象ですが、パナソニックは濃いめ、ソニーは明るく鮮やか、そして東芝は両者の中間といった感じがします。そして色づくり以外の絵づくりについて、まずパナソニックは、Youtubeなどのネットの動画の処理が上手で、ネットの4K動画がすごくきれいに見られますね。また東芝は逆に4Kでない、普通の地上デジタルの映像の処理が上手いと感じます。ソニーは極端な得意不得意はなく、オールラウンド的な感じですね。絵づくりに関しては、4K動画はいずれも非常に美しく、どのメーカーが特別優れているというのはありません。好み次第でどれを選んでも間違いないと思います」
「ただ音に関しては、ソニーには他にないプレミアム感があります。液晶テレビも含め、いまのテレビはほとんどの製品がスピーカーを縦に配置し、音が画面の下から出るようになっています。スピーカーは本来奥行きが必要ですが、テレビの薄型化が進んだため、そうせざるを得なくなったんですね。しかしそうするとどうしても音がこもりがちで、美しい4K映像に見合ったクオリティになりにくい。音にこだわる人は、別途スピーカーを購入する必要がありました。しかしソニーの有機ELテレビは、画面自体を振動させて音を出すシステムを採用しています。これによって音がしっかり前に出てくるようになっています。人の話し声などはちゃんと口から音が出ているように感じるんですよ。また下向きのスピーカーがないので、本体をテレビ台や床にピッタリつけて置くことができます。そうしたデザイン性も魅力ですね」
コンシェルジュからの一言
映像コンシェルジュ:山口史朗さん
「同サイズなら、液晶と有機ELの価格差は\150,000ほど。しかし見比べると有機ELがほしくなってしまうと思います。ぜひその目で確かめに来てください。次回は、トゥルーワイヤレスイヤホンを、音楽コンシェルジュがご紹介いたします」
●二子玉川 蔦屋家電 TEL:03-5491-8550 http://real.tsite.jp/futakotamagawa/