〝桜色〟が腕元に華を添える、日本製の機械式。
岩崎 寛(STASH)・写真 photographs by Hiroshi Iwasaki並木浩一・文 text by Koichi Namiki
高級腕時計に本格参入して2年目となるTASAKI。新コレクションに待望の「オデッサ クロノグラフ」が登場した。初のクロノグラフには初のブレスレットモデルもフィーチャー。コンビネーション・ブレスレット版では、ゴールド素材がオリジナルの〝SAKURA ゴールド〞である。もともと「オデッサ」は映画『戦艦ポチョムキン』に登場した都市の名。映画史上に名高い階段のシーンがイメージに重なるステップベゼルもまた、SAKURAゴールドに彩られる。「白にほんのり紅をさしたような淡いピンク」というTASAKI自身の表現の通り、可憐な桜の花を想起させる。
多くの人にとって、この腕時計の期待値は高い。昨年「オデッサ」のデビュー時には、独立時計師・浅岡肇とのコラボによるトゥールビヨンが話題を呼び、一方で端正な三針ドレスウォッチが「ジャパンメイドの高級腕時計」の品格を強く印象づけた。今回のセカンドシーズンでは、芸術的なスケルトンと、革ストラップとブレスレット版のクロノグラフ、全7モデルのリリース。選択肢が広がり、もう様子見の必要はない。言うまでもなくTASAKIは、日本のハイジュエラーだ。ダイヤモンドを原石から買いつけ、自社で研磨する「サイトホルダー」のステータスは、時計界でいうマニュファクチュールの特権的立場とも通底する。腕時計に参入する際の堂々とした態度は、当然のことにみえる。
世界的ジュエラーの高級機械式腕時計というステージに登ったTASAKIは、名だたるスイスメイド、フランスのグラン・メゾンと伍する日本代表である。こちらもパリのリッツ・パリ内にブティックがあり、国内では銀座に本店がある。世界で胸を張って身に着けられるジャパンメイドは誇らしい。ソリッドなブレスレットの印象は、金の桜色が華やかに和らげている。
オデッサ クロノグラフ