飛び跳ねるウサギのように軽やかな一脚。
Vol.61
飛び跳ねるウサギのように軽やかな一脚。
SANAAアームレスチェア

SANAA

文:佐藤早苗 編集:山田泰巨

妹島和世と西沢立衛による建築家ユニット、SANAAが手がけた通称「ラビットチェア」。手描きのようなゆるいラインで、左右非対称の背もたれはウサギの耳を思わせ、ユーモラスで愛嬌のある形が魅力的です。ベントウッドのシートと2本のメタルチューブから構成されるシンプルな構造で、軽やかな存在感のチェアはどこにでも置けるコンパクトさも人気の秘密です。

ウサギの耳をイメージさせる「SANAAアームレスチェア」。こちらはブナ材の木目がうっすらと透けるナチュラルブラック。サイズはW370×D420×H820×SH425mm

この椅子は、広島のマルニ木工が2005年にミラノサローネで発表したプロジェクト「ネクストマルニ」に含まれていた一脚です。二股に分かれた背もたれの表情から、「ラビットチェア」の愛称で親しまれてています。ひょっこりと耳を出したウサギのように、この椅子があるだけでどんな景色にも愛らしさをもたらしてくれるのです。また、パリ装飾芸術美術館のパーマネントコレクションとしても収蔵されています。

SANAAの2人はこの椅子についてあまり多くを語っていませんが、製作時のテーマであった日本の美意識については「普段は特に意識することはありませんが、自分が意識していないことでも、海外の人から日本的だと評されることがあります。カタチといとうものに対する認識の仕方が違うような気がします」とコメントを寄せています。

華奢な脚のラインや薄い座面、サイズもコンパクトで圧迫感がないので日本の住空間にも取り入れやすいことでしょう。カラーバリエーションも豊富で、幾度も打ち合わせを重ねた膨大な色の中から選ばれたピンク、グリーン、イエロー、ホワイトベージュ、ブラウン、ダークグレーの全8色が揃います。サイズも3種類。小さな子どもにも愛され、国を超えて人を魅了する。まさにSANAAの建築にも通じるワールドワイドな椅子なのです。

脚部はコの字型にしたメタルチューブ2本から成り、チェアを構成する要素は極めてシンプル。写真は艶を押さえ、ブナ材本来の素材感を活かしたナチュラルカラーです。

サイズ違いで「SANAAアームレスチェア ミニ」サイズはW245×D280×H552×SH287mm、「SANAAアームレスチェア ミニミニ」サイズはW185×D215×H420×SH220mmも。カラーは全8色展開。

飛び跳ねるウサギのように軽やかな一脚。