ナナ&ヨルゲン・ディッツェル
デンマークのナナ&ヨルゲン・ディッツェル夫妻がデザインした「ハンギング エッグチェア」。食卓や仕事場に置かれる椅子と異なり、くつろぐことを目的につくられた椅子は南国のリゾートで風に吹かれるようなやすらぎを与えてくれます。
コペンハーゲン美術工芸学校で家具デザインを学んでいた時に知り合ったというヨルゲン&ナナ・ディッツェル。2人はともに家具デザインを学ぶ前から家具に携わり、ヨルゲンは家具の布張り職人、ナナは家具職人として学んでいました。ともに学校を卒業すると結婚、デザインスタジオを立ち上げて公私ともによきパートナーとなります。
1957年、3人の子どもに恵まれた2人が生み出したのが「ハンギング エッグチェア」です。ヨルゲンとナナは新しい素材や技術を用いた実験的なアプローチにも積極的に取り組んでいました。東南アジアの熱帯雨林に自生するラタンもその1つで、エキゾチックな新素材としてヨーロッパで人気を集め、60年代には黄金期を迎えます。この椅子は当初、デンマーク王室御用達であった籐編み職人のロバート・ウェングラーが製作していました。その後、海外ではウェングラーの椅子をいまも製造するデンマークのシカデザイン、日本ではヤマカワラタンが生産を行っています。
すっぽりと身体を包み込む卵型のシェルにクッションを入れ、天井やスタンドに吊り下げるスタイルの椅子はデザインされてから半世紀を超えた経たいまでも斬新。ゆらゆらと揺れるラタンの椅子は、他にない座り心地でくつろぎの時間を届けてくれることでしょう。