エンツォ・マーリ
1972年にエンツォ・マーリがデザインした「ソフソフ」は、シャープな脚部とボリュームあるクッションが特徴的です。スチールロッドのグラフィカルなフレームが織りなす美しさは、彼の哲学に基づく理論的なアプローチから生まれました。
イタリア・ミラノのブレラ美術アカデミーで視覚心理学などを学んだエンツォ・マーリは卒業後、ブルーノ・ムナーリの紹介でミラノの日用品店「ダネーゼ」の仕事を始めます。そこでマーリは彼らしい造形美をもった、グラフィックやプロダクト、子ども向けのゲームなど幅広い製品を発表します。「ダネーゼ」が大きな存在感をもつとともに、マーリもまたイタリアのデザインシーンにおける重要な存在となっていきます。当時から普遍的な美しさこそデザインのあるべき姿であると発言していたマーリは、デザインが社会に与える影響を常に訴え続けました。
そのように表層的なデザインを嫌ったマーリが手がけた椅子「ソフソフ」は、座ることで素晴らしさをより実感することができます。直径6mmのスチールロッドを用いた9つの四角形で構成されるフレームは、座って背もたれに寄りかかると自重でしなり、弾力のあるクッションと相まって快適な座り心地を生み出します。緻密な考察に基づいて導き出された、必然性から生まれるデザインがマーリの作品の美しさを特徴づけています。
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