パオラ・ナヴォーネ
足元まですっぽりとシーツを被った姿はまるでお化けのよう。シンプルなデザインでありながら独特の存在感を放つこの椅子「ゴースト」は、イタリアの女性デザイナー、パオラ・ナヴォーネによるものです。建築家、デザイナー、アート・ディレクター、インテリア・スタイリストなど幅広い活躍を見せるナヴォーネは、カバーによって無数の表情を見せる一脚をデザインしました。
大学卒業後、前衛的デザイン集団「アルキミア」に参加したパオラ・ナヴォーネは、そこでデザイナーのアレッサンドロ・メンディーニ、エットーレ・ソットサス、アンドレア・ブランジらと交流を重ね、ともにデザインを行うようになります。実用的な美しさを求めるモダニズムの次を探る時代のなか、彼女もまた自由な表現を求めるようになりました。
まるで実体を隠すようにファブリックで覆われたゴーストの内側には、そのアヴァンギャルドな思想が潜んでいます。ゆったりとした真っ白なリネンで覆われたゴーストは落ち着いた印象ですが、カバーを変えることでガラリと違う印象に変わります。普遍的なカタチの椅子が、コーディネートによってラグジュアリーにもカジュアルにも変化し楽しませてくれます。それが多方面で活躍するナヴォーネらしいデザインの魅力といえるでしょう。
計算されたデザインでありながら押し付けがましさのない、力の抜けたデザインが秀逸なゴーストは、モダンをベースに自然素材を組み合わせたインテリアに取り入れるのがお薦めです。藤編みのカゴやジュートのラグなど素材感のあるアイテムとともにスタイリングをすれば、フェミニンなやわらかさがありながら大人の洗練された空間に仕上がります。
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