東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第2回 ルノー 「ルーテシア ゼン」/ Renault Lutecia Zen
街はマニュアルでリズミカルに。気持ちよすぎるフレンチコンパクト「ルノー ルーテシア ゼン」
昨年春に登場して以来、ルーテシアはフレンチコンパクト、反攻ののろしとなりました。特にR.S.は走りのモードとデュアルクラッチの妙味がうまくまとまっていて、値段も高くないし、ホント”買い”の一台だよね。
そのルーテシアに0.9ℓが登場、それもマニュアルのみ!ってコレ、イイじゃないですかー。まず小粋なフランス車が200万ちょっとで買えるのが嬉しい。加えて個人的に、都内の一般道はマニュアルのコンパクトカーが最適解だと心底思っている。
これ、なぜかというと、狭い道もガンガン入っていけるし、厳しめスペースの縦列駐車だって楽勝でしょ。何より、ひんぱんに繰り返すシフト操作それ自体が、都市のリズムにピッタリなんだな。左手をシフトノブに置いたまま右手でハンドルを操作。ひんぱんにクラッチを入り切りしながらアクセルを抑制気味に合わせていく……、なんてことが楽しくて仕方ない!
ルーテシアはそんな全身を使った、ひっきりなしの入力操作が最高に気持ちいい。で、0.9ℓだと90馬力しかないので、シフトワークはより的確な操作が要求される。高めのギアでラクして走ろうとすると、すぐノッキングするからね。さらに燃費に効くエコモードで走れば、よりシフト操作は細やかにならざるを得ないけど、給油所でびっくり。こんなに楽しいのに低燃費なんだ、と間違いなく驚かされるハズ。高速と一般道半分ぐらいずつで、リッター15㎞ぐらい。もうちょっと抑えればリッター18㎞ぐらいはいくハズ。ちょっと前の軽自動車ぐらいの燃費だよね。
燃費は軽でも外見はハンサム。リアにめいっぱい張り出した後輪の位置が男くさいし、走りの安定性にも貢献している。全体的に流水で磨かれた瑪瑙(めのう)石のような艶めかしいプロポーションも街で見かけるとハッとさせられること請け合い。インテリアもすごくお洒落なんだけど、残念ながら試乗車は色合わせが地味めだったわ。これ、ハンドルや内装の色は自分で選べるから、思いっきりぶっとんだ組み合わせにするとイイと思う。
あとはフランス車ならではのロングツーリングでも疲れない、快適な乗り心地も加えておこうか。この乗り心地と運転感覚の気持ちよさ加減は、さすがとしか言いようがない。ある種のゆるさがあるんだけど、そのゆるさは手を抜いたものじゃなくて、居心地のよさを突きつめた確信犯。フレンチコンパクトはルーテシアR.S.のようなホットハッチもいいけど、日常の足で毎日さり気なく使いたい人も相当数いる。男性でも女性でも、街でこのルーテシアのマニュアルをしなやかに乗りこなしてたら、俺なら惚れる。大人のエレガンスってそういうことだもんね。
●エンジン形式:0.9リッター直列3気筒ターボ
●最高出力:90ps/ 5,250rpm
●最大トルク:135Nm/2,500rpm
●トランスミッション:5速MT
●車両価格:208万円