東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第32回 Honda NSX / ホンダ NSX
信繁よ、昌幸を越えよ! 「Honda NSX」は先代との約定を果たしていると言えるのか?
いよいよ2月27日の発売に向けて、これから話題も高まってくるはずのホンダのフラッグシップNSX。1日に8台しかつくれないのもあって、すでに受注は2年先まで埋まってるとのこと! 2300万を超える価格や、実際ベンチマークにしたというポルシェの911ターボやアウディR8のたとえからも分かるように、新型NSXは北米をターゲットにした戦略車なんだと言える。とはいえ戦略車というほど台数は作れないので(笑)、マーケットでの試金石的な意味合いだったり、フラッグシップとしてのプレゼンスが求められてるのかも知れないね。印象としてはV8信仰根強い北米マーケットで、スーパースポーツを売る独自の
ポジションを模索するのに心血が注がれているよね。実際にアメリカで製造しているし、どこかアメリカ車っぽくもある(笑)。
NSXに搭載された、ツインターボのV6エンジン(75度!)とハイブリットの組み合わせによる4輪駆動システムを、ホンダは“スポーツハイブリッドAWD”と表現している。モーターが前輪2つに独立して搭載され、ハンドリングをアシスト。残り1個がエンジンをアシストというように、3モーターで新たな走りの沃野を切り開く最先端の車両。だからこそ、「2000万越えはやむを得まい」というのがホンダの言い分なのかな(笑)。もちろんNSXだけに、コンセプトと価格で世界に衝撃を与えた先代NSXのイメージをもって語られるのは避けられないんだけど、値段はともかく!まず良かったのが「キャスティングが絶妙」って感じの、3モーターの的を得た使われ方とドライブモードの設定だよね。それによって、デイリーユースで「がんがん乗れる理想的なスーパースポーツが誕生した」ってことなんだ。通常走行の発進停止は基本アイドリングストップして、始動はモーターで自然にエンジン動力にスイッチして駆動するスポーツモード。たぶん一番多用するだろう、このスポーツモードがとても秀逸なんだ。
この乗りやすさと品の良い感じ。それでいてNSXに乗っている興奮値を下げないでいてくれるスポーツ性能とのバランスの良さは素晴らしいと思ったね。さらにスポーツプラスにすると、本性を現したかのように低く唸るV6っぽい音に変化しつつ、アクセルを踏み込むと、エンジンの咆哮を聞かせながら、彼の本分であるスピードの彼方へ連れ去ってくれもする。「嗚呼、役者はそろった!」って感じがしたよね(笑)。エンジンの吸排気音が演出として効いてもいて、これもまた良い。他のスーパースポーツみたいにドライバーにプレッシャーを感じさせる、重っ苦しいスポーツモードじゃないのがとても良かった。新型NSXのカジュアルに「アクセル踏んでみて」って感じは西海岸っぽいし(笑)、クルーズ走行が快適なのもやっぱりアメリカらしいと言えるはず。だから車日記的には、東京で「1から10まで肌身はなさずスーパースポーツ」ライフを送りたい貴方のために新型NSXをお薦めしたい。誰でも運転できて、乗りやすいスーパースポーツ。その点、先代からの約定は果たされていると思うんだよね。
●エンジン形式:3.5リッターV型6気筒ツインターボ
●モーター:3基(ツインモーター+ダイレクトドライブモーター)
●最高出力:581PS
●最大トルク:646Nm
●トランスミッション:9速DCT
●車両価格:¥23,700,000
問い合わせ先:Honda お客様相談センター
TEL:0120-112-010
http://www.honda.co.jp/NSX/